一夜越しで続いた情熱の井之川夏目踊り=18日午前1時すぎ、徳之島町井之川
徳之島町井之川 情熱と躍動あふれる
【徳之島】徳之島町井之川集落(保和廣区長、205世帯・403人)を挙げた一大伝統行事「浜下(う)り」が17、18日にかけて繰り広げられた。17日夕、親類縁者ごとに海岸に集って先祖へ感謝し、酒肴を交わし合いながら絆を確認。午後10時すぎからは名物の「夏目踊り」(県無形民俗文化財)が始まり、夜を徹し情熱的な歌と踊りで家々を訪問した。
「浜下り」行事は、ニライカナイ信仰や祖霊祭祀(し)、稲作の豊作感謝などが結びついた複合的な祭りとも。本来の日程は旧盆後の丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)の3日間。帰省客が多く住民たちも参加しやすいよう月遅れ盆直後の土・日曜日に定着させて伝統を守っている。
先祖伝来の海岸の一画に「浜ヤドゥリ」(仮小屋)と簡単なカマドを作るなど儀式後、17日夕から親類縁者たちの宴が続いた。そして、海岸から帰宅して一息ついた午後10時すぎ、呼び込み的の伝統歌謡「でんだらこ」の唄と太鼓とともに集落3班「宝島(ふーしま)」、「伊宝(いふ)」、「佐渡(さどぅ)」の各夏目踊り連の家回りがスタート。
「あったら七月」など情熱的で律動的な男女掛け合いの歌踊りによる巡行は18日朝まで延々と続いた。訪問先の家々からは、汗だくの〝来訪神〟一行に返礼のタオルや飲み物、お菓子などが振る舞われた。今年も島内外から多くの見物客たちでごった返し、躍動感にあふれた光景に感動。浜下り行事は公民館での「ハマギノ」で締めくくった。