沖防波堤の復旧工事公開

沖防波堤の復旧工事公開

台風で破損したケーソンを破砕し撤去する作業が行われた

 

フローティングドックで建設されている巨大なケーソン

 

昨年の台風で破損、高波対策など強化
名瀬港

 

 国土交通省九州整備局鹿児島港湾・空港整備事務所は22日、昨年9月の台風24号による高波などの影響で壊れた奄美市名瀬港・沖防波堤の復旧工事の現場を報道機関に公開した。工事は、来年3月末までに終了する予定で、現在は、高波被害を受けた部分を撤去するため、堤防の一部を破砕する作業などが行われている。同出張所は「奄美大島の物流拠点である名瀬港の安全性向上のため、一日も早い復旧を目指し工事を進めていることを、多くの人たちに知ってもらいたい」としている。

 同事務所によると、全長700㍍の沖防波堤は、名瀬港の高波対策として整備。13・7㍍の高波を想定し、1基当たりの重さが約4千㌧(中詰め材を含めると約1万トン)、高さ約20㍍、幅約19㍍、奥行き約16㍍ある巨大な鉄筋コンクリート製のケーソン41基をつなぐように設置している。

 しかし、台風24号では、想定を超える15・5㍍の高波が襲ったと推測され、堤防東端に近い2基のケーソンが大きく動いたり、水没するなどしたほか、6基がわずかに動くなどした。

 復旧工事では、東端に近い2基を撤去して新設し、残りの6基については、後方部の海底に石を積み増しして補強するほか、ケーソンのスリット部分に新たにコンクリートを流し込むなどして補強する。

 工事は6月から行われており、現在は水没するなどした東端の2基の撤去作業が進められている。作業船に取り付けられた重さ約50㌧の砕岩棒と呼ばれる鉄製の突起物を吊り落とすようにして、コンクリート製のケーソンを破砕。現場には、砕岩棒がケーソンに吊り落とされる度に、「ドーン」という大きな音と、コンクリート煙が巻き上がった。

 名瀬港岸壁では、新たなケーソンの建設作業も進められている。フローティングドック(長さ64㍍、幅45㍍、高さ28㍍)と呼ばれる巨大な台船上で造られており、1基造るのに約4カ月かかるため、全体が完成するのは、来年3月ごろになる見込み。

 復旧工事の事業費は約43億円。同事務所の上原幸生副所長は「名瀬港は、鹿児島と離島、沖縄を結ぶ航路に欠かせない重要港湾。工事は台風など天候の影響を受けるため、工期が延びる可能性もあるが、できるだけ早く、島民に安心してもらえるよう復旧を急ぎたい」と話している。