無投票で2期目当選、山与論町長

無投票で2期目当選、山与論町長

 メモ (やま・もとむね)那間出身。釣りと潮干狩りが好きだが、今は多忙で行けず。好きな読書は、朝の朝礼で話す話題作りに役立っている。「人を押しのけてでも前に出るタイプではなく、それが欠点」と話す。子どもは長男・長女の2人。現在は同い年の千代子夫人と2人暮らし。家庭円満の秘訣は「家内の言う通りにする」こと。75歳。

 

新首長インタビュー
対話の姿勢が理解 集大成の2期目
港湾整備「命にかかわる問題」

 

 【沖永良部】任期満了に伴う与論町長選挙は、現職の山元宗氏=無所属=が無投票で2期目当選を果たした。与論町民憲章にある「誠の伝統に誇りを持ち 島の永遠の繁栄をめざす」という言葉を胸に、2期目を集大成と位置づけ町政に臨む。課題や抱負を聞いた。

 無投票当選から一夜明けて。
無投票という結果は、町民の英知を集めてやっていくという、対話の姿勢が町民に理解してもらえたからだと思う。これからも対話を実践していかなければと決意を新たにした。

 町の課題は。

 前回は、人口減少問題に取り組むために出馬したわけだが、いまは若い人が意欲を持って島に帰ってきて、農業や畜産、漁業、観光に取り組んでくれている。人口は自然に減ってきてはいるが、郡内でも減少率は低い。与論に生まれ、与論に住んで良かったと言えるように交通基盤の整備と災害に強い町づくりが当面の課題。

 公約の港湾整備について。

 抜港対策をしたい。これは町も議会も一緒になって取り組んでいく課題。奄美群島の課題として取り上げてもらえれば。与論は人口が少ないから効果が少ないということではない。命にかかわる問題なんだと訴えていきたい。

 観光における課題は。

 落ち着いた観光になれば。年間10万人程度でコンスタントに人が来るような観光にしたい。沖縄北部から与論に来て、奄美大島に上がっていくような流れを作りたい。沖縄の観光客の100分の1、1000分の1が与論に来てくれれば目標を達成できる。いまはリピーターが多いので、メディアやSNSなどを見て与論に行ってみたいと思った人が増えてくれれば。派手なリゾートではなく、自然を生かした観光にしていきたい。

 農業振興の具体策は。

 耕地面積が狭いので、キビは単収を上げるしかない。そのために大きな土地改良事業を進めている。さらに、地力を付けるために堆肥センターを活用していきたい。ゆくゆくはセンターを民間に委託して堆肥の質も向上させたい。

 町政運営はどうのように。

 いったん決めたことはみんなで力を合わせて進んでいく。みんなで相談したことはみんなで進めていく。目新しいものを持ってくると目立つが、そうではない。出来ている計画をしっかり押さえてやっていく。

 人材育成について。

 住んでいる人たちは、与論島が日本中から注目される島だと思っていなかった。与論はいい島だと子ども達が自覚してもらえるような教育をしたい。

 4年後は。

 3期目はない。与論の進むべき方向性を、みんなと分かち合えたらと思って1期4年やってきたが、もう少し町づくりをしないといけない。結局は人づくり。島を興すような人材を育てるにはどうすればいいのか。島の方向性が決まれば、私はいつでも身を引いていい。
                                                                 (聞き手・逆瀬川弘次)