アラセツ行事「ショチョガマ」

アラセツ行事「ショチョガマ」

「ショチョガマ」の上で男たちが声を掛けながら揺すり倒した

豊作願い揺すり倒す
龍郷町秋名・幾里 多数の観光客など堪能

 龍郷町秋名・幾里集落のアラセツ行事「ショチョガマ」が6日朝、秋名集落と田袋を見下ろせる中里地区の山の中腹で行われた。台風接近の影響で雨が降ったり止んだりする天候だったが、行事の始まる日の出前には多数の観光客などが訪れ伝統行事を堪能した。

 両集落が伝承するアラセツ行事は、今年の収穫に感謝し来年の五穀豊穣を願う稲作儀礼の一つで1985年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。明け方に行われる「ショチョガマ」と夕方の「平瀬マンカイ」があり、このアラセツ行事の始まりは奄美を琉球王国が統治していた約450年前にさかのぼるという。

 ショチョガマは集落を一望できる山の中腹の祭場に建てられたわら葺=ぶ=きの片屋根のこと。ショチョガマの祭りでは、今年の農作物の恵みに感謝して天災などがなく、集落全体が平和に暮らせるよう祈願する。

 雨を避けるビニールシートを外して、祭りを執り行うグージが屋根に上り、お供え物が捧げられ祭詞を言上し終わると約80人の屋根の上の男たちは太鼓(チヂン)に合わせ豊年歌を唄い始め祭りを開始。歌の終りに「ヨラ、メラ」の掛け声で、足に力を入れ激しく屋根を左右に揺する。何度か一連の動きが繰り返され、午前6時40分ごろには前年と同じ北側に揺すり倒された。

 集落と祭場を結ぶ道や、祭場下の町道には多くの見物客が詰めかけ祭りを見守った。グージ役を務めた秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長(78)は、「今年も北側に倒れた。豊作になると伝わる南側に倒そうとしたが、屋根を踏む力の加減がうまくいかず上下に揺れてしまい北側に倒れたのだろう。台風が近づいていて雨が心配だったが、祭りのときは上がって何とか無事に終了できて良かった。ショチョガマを建てる作業はボランティアの協力で継続できているが、わらの確保に保存会でも稲作を検討したい」などと語った。