初の日米合同訓練が行われる「奄美駐屯地」
陸上自衛隊と米陸軍の合同実働訓練「オリエント・シールド(東洋の盾)19」が14日、奄美駐屯地=奄美市名瀬大熊=内で行われる。同駐屯地に配備された中距離地対空誘導ミサイル(=中SAM)運用部隊約30人と米陸軍側約30人が参加し、車両警備やヘリポートを活用した人員移動など「共同警備訓練」を実施する。期間は23日まで。
訓練は日米の相互連携による実効性や対処能力の向上を目的に先月26日から開始。熊本県や北海道など4カ所で共同演習を展開している。陸自と米陸軍双方から、約950人が参加。奄美駐屯地では初めてで、訓練時の実弾使用はないという。
陸上幕僚監部広報室によると、今年度の訓練予算額は約1300万円を計上。訓練の規模や場所、時期は日米間で調整され、奄美での訓練実施は「8月上旬に最終決定」とした。
同広報は奄美での訓練について、「(日米合同訓練は)これまでも全国的に展開・実施。日米間で調整しており、今回は奄美を訓練地に選定しているが、対象や目的を特に想定したものではない」としている。
なお奄美での訓練は非公開。陸自西部方面総監部は「部隊の保全や警備体制の訓練という性質上、明かすことはできない。これまでも報道公開はしていない」と説明した。
準備日の13日は、訓練に参加する陸米隊員を乗せた多用途ヘリコプター(UH―60)3機が来島。駐屯地ヘリポートに到着する予定だったが、出発地の天候不順により出発が見送られた。同駐屯地によると、奄美入りは14日にずれ込む見通し。
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奄美駐屯地は今年3月に開設したばかり。7月も陸自第6師団(司令部・山形県東根市)が協同転地演習を実施し、わずか半年の間に2回、島外からの部隊訓練が行われている。自衛隊の奄美進出に反対の立場を示してきた団体や市民は国防という性質上、今回の訓練非公開に一定の理解を示しつつ、奄美が「訓練場」と化していることを強く懸念する。
市民有志でつくる「奄美の自然と平和を守る郡民会議」の城村典文事務局長は「駐屯地ができた途端、軍事的行動の活動場となっている。島しょ防衛ライン計画はまさに軍隊の受け入れ拠点づくり」と厳しく指摘した。
共産党奄美地区委員会の﨑田信正委員長は「奄美が戦争に巻き込まれる流れがますます強まっている。世界自然遺産登録候補地にそぐわない一連の活動の影響を行政、市民は深く考えるべき」と苦言を呈した。
今回の日米訓練を受け、奄美市名瀬市街地では市民団体が反対集会を開催。14日は、奄美駐屯地周辺での抗議行動を計画している。