ビーチ用車いす〝進水式〟

ビーチ用車いすで海水浴を楽しむ「徳之島ひまわり会」のファミリーたち=14日、伊仙町瀬田海海水浴場

「環境の障害を除こう」
伊仙町・幸徳保育園 「ひまわり」の笑顔

 【徳之島】発達障がい児保育にも取り組む社会福祉法人幸徳福祉会「幸徳保育園」(伊仙町伊仙、幸多健次理事長・園長)が、「海水浴ができない〝環境の障害〟の一つを除きたい」と導入したビーチ用車いす「ひまわり号」の〝進水式〟が14日、同町瀬田海海水浴場であった。療育研究会「徳之島ひまわり会」などのファミリーが、車いすに乗ったまま海水浴を楽しみ、笑顔の花を咲かせ合った。

 障がい者介助特殊車両の同ビーチ用車いすは、両脇に肘(ひじ)乗せを兼ねたフロートを装備し、乗ったまま水に浮く。極太低圧タイヤを採用しているため、砂浜など不整地での乗り心地、操作性も追求しているのが特長という。

 導入動機について幸多理事長(48)は「障がいのある子どもたちと20年近くふれ合ってきたが、『海に行きたい、泳ぎたい』の夢を叶えられずに悩んでいた。この器具で海水浴ができたら、障がいが一つ無くなる」。社会インフラのバリアフリー化やユニバーサルデザインにも関連、「行けない場所や環境が地域にあることが障害だと思っている」と指摘する。

 「進水式」には、車いすのシンガーソングライター森圭一郎さんが会長を務める「徳之島ひまわり会」の会員親子やサポーター、幸徳保育園の園児たちも参加。除幕によるお披露目、会員による命名(ひまわり号)、テープカットなどミニミニセレモニーで喜びを共有。指定難病と闘いつつ、SNSで同車いすの存在を幸多理事長に伝えていた時元真佑希さん(23)=同町犬田布=をトップバッターに海水浴にチャレンジした。

 ひまわり会のファミリーたちと〝ペットボトルいかだ〟で海水に浸かって以来5年ぶりという真佑希さんは「とってもうれしい」と笑顔を輝かせた。母・美香子さん(59)も「みんなと一緒に海遊びが出来てうれしい。家族だけでは安全面で怖い。会員が集まると誰かが手助けをしてくれて『支えられている』と実感します」と感謝していた。

 幸多理事長は「希望児童(者)には園の活動と併せて協力したい」。また「この道具の存在を知ってもらい、自治体を含め1台でも多く購入。普通の子らと同じように、海水浴が楽しめたらと思う」と訴えた。