名瀬小湊 伝統の「綱かつぎ」

集落中を練り歩いた後、浜に降り綱で土俵を作った子ども達。背後には美しい名月も

「十五夜どー!」の声響き
集落内練り歩き厄除け

 奄美市名瀬の小湊集落で13日夜、伝統行事「十五夜綱かつぎ」があった。子どもたちが長さ10㍍の長い綱を持ち、集落内を練り歩いた。子ども達が鳴らす鐘と法螺=ほら=貝の音と「十五夜どー!十五夜どー!」のにぎやかな掛け声が集落中に響き渡った。

 同集落の綱かつぎは毎年旧暦の8月15日に実施。行事を指導する川畑賢一さんによると、かつて集落に疫病が流行した際、ユタの指導で始めた厄除けが由来。集落から悪霊を祓=はら=う目的を持つという。

 前日の12日には集落住民らが、小湊小学校が授業の一環として実施する稲作活動で収穫した稲わらを使用し大縄をなうなど準備した。行事当日は夕方6時ごろ、集落内の「マー」の広場を出発。子ども達や住民約25人が綱を持ち、掛け声と共に辻々を練り歩いた。

 集落内を一通り歩き回った一行は、綱を担いだまま浜に下り、綱で土俵を作成。薄暮の空に浮かぶ中秋の名月が照らす中、子ども達が相撲を取った。すっかり暗くなった午後7時半ごろには綱に火を放ち、海に流した。例年は中学生男子が沖合まで火を導くというが、今年は海が荒れていたため、大人がその任を担った。

 参加した奄美高校1年の津留拓斗さんは「子どものころから毎年参加しているが、伝統ある行事だし、楽しい。これからもずっと続けて参加したい」と話した。