くれないの塔慰霊式

献花を捧げた川村伸一司令

57年前の自衛隊機墜落の犠牲者悼む
後世に伝える決意新たに

 公益社団法人奄美大島青年会議所(=JC、吉田剛理事長)は15日、奄美市名瀬金久町のらんかん山ふもとで「くれないの塔慰霊式」を開いた。JC会員のほか、遺族や自衛隊関係者らなど約50人が参列。57年前の自衛隊航空機墜落事故で亡くなった人らへの哀悼を捧げ、事故を風化させることなく後世に伝える決意を新たにした。

 1962年9月3日、奄美大島に輸血用血液を輸送していた海上自衛隊の航空機が墜落し隊員12人と住民1人が死亡する事故が発生。事故があったらんかん山には慰霊碑「くれないの塔」が建てられた。奄美市は95年に、職務に全うした尊い命を忘れることのないよう同日を「献血の日」に制定し献血を実施している。

 同JCは事故翌年から毎年慰霊式を開催。三十三回忌を機に一度は中断したものの、2005年に再開し、今もなお続く。慰霊式前に同JCと自衛隊OBらなどによる塔周辺の清掃活動も恒例の行事として行われている。

 この日は雨予報だったため、会場を塔周辺から塔のある公園入口に変更。海上自衛隊鹿屋第一航空群、自衛隊鹿児島地方協力本部のほか今年開設した陸上自衛隊奄美駐屯地の平田浩二司令も参列。同航空群の航空機が慰霊飛行した後、参列者が黙とう・献花・焼香を捧げ、哀悼の意を表した。

 JCの吉田理事長は「事故から半世紀以上経つが、風化することないよう語り継ぎ、献血の重要性と、使命を全うすることの大切さを伝えていく」。同航空群の川村伸一司令は「事故は57年経った今でも隊員の心に深く刻まれている。時が過ぎ、人も使用する航空機も変わるが、凄惨な事故を繰り返すことがないよう、訓練に励みたい」とそれぞれ述べた。