ボスニアH―伊仙町

ボスニアH―伊仙町

闘牛文化を通じた国際交流へ覚書を交わしたBH闘牛飼育愛好者協会のグリーバー会長(右)と大久保伊仙町長=22日夜、同町ほーらい館

 

BH国の関係者を招待してあったホストタウンシティ「交流記念闘牛大会」=22日、伊仙町・なくさみ館

 

共通の闘牛文化で国際交流
ホストタウンシティ事業
調印式・記念闘牛大会
東京五輪・パラリンピック

 

 【徳之島】2020年東京オリンピック・パラリンピックの参加国・地域との事前交流などに取り組む「ホストタウンシティ」構想事業で東欧のボスニア・ヘルツェゴビナ国と、伊仙町の同事業調印式・交流会が22日夜、同町ほーらい館であった。国境を越えて育まれる共通の闘牛文化を通じた国際交流の第一歩とし、双方で「世界闘牛サミット」の将来構想も持ち上がった。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ(BH)は東ヨーロッパのバルカン半島北西部に位置。人口約351万人、面積5120万㌔平方㍍。サラエボを首都にBH連邦とスルプスカ共和国からなる連邦国家。旧ユーゴスラビア分裂に伴う90年代の内戦、民族分裂の歴史も。徳之島・伊仙町との距離は約1万5千㌔。共通の闘牛文化を通じ伊仙町側がアプローチした。

 同タウン事業では7月上旬、まず大久保明伊仙町長や内閣官房東京五輪・パラ推進本部の関係者らがBH国を訪問し、同国の五輪・パラ委員会や闘牛飼育愛好者協会など関係者と事前交流を深めていた。

 調印・交流のため20日来島したのは、BH国のベスィム・グリーバー闘牛飼育愛好者協会会長、センカ・フセインバシッチ同協会事務局長、シニシャ・ベリャン駐日特命全権大使の3人。在BH国日本大使館書記官や内閣官房職員らも随行した。

 台風の影響で当初計画の日程変更を余儀なくされたが、島のスローライフ・フードも満喫しつつ、牛主との対談交流も。22日夕は同「交流記念闘牛大会」(同町目手久、なくさみ館)で5組の取り組みを観戦後、調印式・交流会に臨んだ。

 大久保町長は関係者約120人を前に、同タウン構想事業の経緯に触れつつ、共通の闘牛文化について「徳之島の闘牛がいつか世界と交流をと願っていた。ボスニアの闘牛は牛の角(つの)先を切ることがEU参加条件に。子どもたちの教育や動物愛護のためにも、ボスニアに学ぶことが国際交流にもつながる」とも強調。

 BH闘牛飼育愛好者協会のグリーバー会長は、約3百年の伝統を持ち、多民族(3宗教)国家の心を一つ結ぶ同国の闘牛文化を紹介し「牛に対する愛がとても重要で、共通点があると気付いた。双方の協力関係が今後も強く深く続くことを願っています」とアピールした。

 大久保町長とグリーバー会長が、伊仙町およびBHの闘牛飼育愛好者協会、オリ・パラ両協会の計4者間の交流協定の覚書にそれぞれ署名。同会長は会見で、徳之島の闘牛大会について動物愛護の観点から①角を研がない②闘牛場をもっと広く―とも提言。大久保町長ともに闘牛を通じた相互交流の発展、「世界闘牛サミット」の実現にも期待を寄せ合った。

 懇親会では、地元の和太鼓集団「黒潮太鼓」や島唄、空手スポーツ少年団・伊仙拳心館一行の演武などを楽しみながら国際交流を深めた。