県議会一般質問

定期船長期欠航 農作物対策で収入保険加入促進
奄美大島以外LCC就航、意向把握や働きかけ

 9月定例県議会は24日、引き続き一般質問があり、藤崎剛議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、安楽英美議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、寿肇議員=自民党、大島郡区=、長田康秀議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇。台風接近時に定期船の長期欠航による影響が問題化しているが、対策では就航率向上のための防波堤整備のほか、農作物が島外出荷できなくなる中で収入減少を補てんする収入保険の加入促進などが挙がった。

 奄美群島の持続可能な振興実現、農業振興、経済効果につながる交流人口拡大のための観光振興などを今春の県議選で初当選した寿議員が、初めて臨んだ一般質問で取り上げた。

 台風接近による海上のしけで欠航の長期化による問題への対応については古薗宏明企画部長が答弁。「飛行機や船舶の欠航により住民生活や経済活動に支障が出ている」として、▽定期船就航率向上のための防波堤等整備▽欠航が生じた際の観光客に対する延泊コストにかかる実証事業▽農作物は冷蔵庫での保管が長期にわたると品質低下が避けられない場合があることから、出荷遅延による収入減少を補てんする収入保険への加入促進―などの取り組みを説明した。

 サトウキビの生産向上に向けた施策は満薗秀彦農政部長が答弁。キビの栽培指針では堆肥施用を掲げているが、奄美群島は種子島に比べて低い傾向にある。県は堆肥土壌改良資材の施用を促進している中、奄美大島で取り組んでいる実証事業により「堆肥を10㌃当たり4㌧施用することで茎数が増え約1割の増収」となったことから、こうした効果を研修会等で紹介するなど堆肥施用の必要性の周知を図っているとした。

 奄美群島における畑地かんがい整備状況の説明もあった。2018年度末の通水面積は6564㌶で、計画に対する整備率は61%。満薗部長は「畑かんを利用した生産性の高い営農を推進するため島ごとに畑かん営農ビジョンを作成しており、先進的に営農を行っている『畑かんマイスター』等と連携してモデルほ場を設置し、水利用効果を実証するなど畑かん営農の理解促進に努めたい」と述べた。

 観光振興で期待されている世界自然遺産登録に向けた取り組みではノネコ対策が挙がった。奄美大島では国・県・市町村が一体となって昨年3月にノネコ管理計画を作成し、必要な対策を推進しているが、この取り組みについて藤本徳昭環境林務部長は「IUCN(国際自然保護連合)の勧告においても評価されている」として現在、同計画に基づきノネコの捕獲、発生源対策として飼い猫の適正飼養の推進、ノラネコの不妊強制手術等を総合的に実施していると報告。藤本部長は「捕獲したノネコは譲渡に努め、譲渡できなかった場合、安楽死させることとしているが、今年8月末までに捕獲した83頭については、収容中に死亡した2頭を除き全て譲渡されている」と述べた。

 奄美大島以外の島々へのLCC就航実現に関する答弁もあった。古薗企画部長は「実現すると観光客の誘致や住民の利便性向上、さらに奄美群島全体の活性化につながると期待されるが、その実現に向けてはまず航空事業者の意向が重要であり、加えて需要の掘り起し、受け入れ態勢の整備などが課題と認識している」と述べ、こうした課題を踏まえ就航の可能性についてLCC事業者の意向把握に努めるとともに、必要に応じて就航働きかけを行っていくとした。

 このほか今年の県議選や参院選など投票率の低下が続く中、有権者が投票しやすい環境づくりに関する質問があった。選挙管理委員会の松下良成委員長は市町村による取り組みとして、▽投票所への移動支援の実施▽大学や商業施設等への期日前投票所の設置▽利便性の高い公民館等に巡回で設置される期日前投票所の設置―を紹介。こうした取り組みをする市町村の増加を目指すとした。