奄美初飛来、保護され治療中

保護され治療を受けているシラオネッタイチョウ(28日、ゆいの島動物病院)

熱帯の海鳥「シラオネッタイチョウ」
台風の風に乗り飛来か

 太平洋やインド洋などの熱帯海域に生息する海鳥・シラオネッタイチョウがこのほど、奄美大島北部でけがをしているのが発見され、奄美市内の動物病院で野生復帰に向け治療を受けている。入院直後は弱っていて流動食を与えていたが、加療を続け現在は餌の魚を食べることができるぐらいに回復。奄美への初飛来の記録とみられ、関係者は今後の迷鳥初記録に注目を寄せている。

 住民が24日夕、龍郷町秋名の県道で動けなくなっている野鳥を発見。県大島支庁に連絡して、同職員が引き取って奄美市名瀬のゆいの島動物病院に搬入した。

 動物病院で調べたところ羽根を動かす左胸付近の骨折と判明。回復まで約2週間を要するとみて、羽根を動かさないようにテーピングして固定する治療を行った。

 情報が入り環境省奄美野生生物保護センターの職員6人が26日、病院を訪れて保護された野鳥がシラオネッタイチョウと分かった。同鳥は熱帯海域に広く分布し、離島の断崖の割れ目などに営巣。くちばしは黄色く、尾羽の中央が長いのが特徴。国内では八重山諸島、小笠原諸島などに、迷鳥(悪天候などで本来の生息地でないところに飛来すること)として記録があるという。

 治療にあたっている同病院の新屋惣獣医師は、「餌のキビナゴが自分で食べられるようになるまで回復。回復したら仲間のいる南に無事に飛んでほしい」と話した。

 奄美野鳥の会の鳥飼久裕会長は「台風の風に乗って、飛来したのでないか。台風通過後は、いろいろな鳥が迷鳥として飛来する可能性がある。今後も迷鳥の初記録に注意していきたい」とした。