18年度普通会計決算

実質単年度収支 赤字、奄美は6団体
実質公債費比率、和泊町県内最高

 県市町村課は、2018年度市町村普通会計決算(速報値)を発表した。歳入(前年度比0・2%増の総額9327億1100万円)、歳出(同0・1%増の総額8979億8千万円)とも前年度を上回り、増加は6年連続。決算収支で実質収支は全団体が黒字だが、実質単年度収支は43団体中18団体が黒字で、残り25団体が赤字。この赤字団体には奄美の6団体も含まれており、数的には前年度と同じだった。

 実質収支は282億1900万円の黒字で、前年度比5億5800万円の増。実質単年度収支は56億4100万円の赤字で、同36億6100万円減少した。実質単年度収支の赤字は3年連続。

 単年度収支から実質的な黒字要素(積立金、繰上償還額)や赤字要素(積立金取崩額)を加減したものが実質単年度収支。奄美の市町村の実質単年度収支をみると、赤字は奄美市(マイナス2億5200万円)、大和村(同600万円)、宇検村(同1700万円)、龍郷町(同1億9300万円)、伊仙町(同1億5300万円)、与論町(同1億3400万円)の6団体。前年度、黒字団体の最高(2億6100万円)だった龍郷町は赤字団体に転落した。なお、18年度の黒字団体の最高は瀬戸内町(1億300万円)となっている。

 歳入のうち自主財源は3354億2400万円(構成比36・0%)で、前年度比2・5%増、構成比でも0・8%増となり、自主財源割合が前年度に続き増加した。内訳で地方税は固定資産税が0・1%減だったが、市町村民税所得割が1・8%増、軽自動車税が3・3%増となったことなどから、全体では0・4%の増となった。依存財源は5972億8700万円(同64・0%)、前年度比1・0%減、構成比も0・8%減といずれも下回った。内訳をみると、地方交付税は普通交付税が2・1%減、特別交付税が1・9%増となり、全体では1・7%の減少。国県支出金は国庫支出金0・5%減、県支出金11・2%減となり、両方を合わせて4・4%減となった。

 歳出は、▽人件費=職員給与、地方公務員共済組合等負担金等の減で0・5%の減▽扶助費=児童福祉費等の増で0・6%の増▽公債費=全体では0・6%の減となり、臨時財政対策債を除いた公債費は3・2%減▽普通建設事業費=単独事業費が2・3%の増、補助事業費10・5%の減となったことなどから、全体では3・0%の減―など。

 借金にあたる地方債現在高は9305億9400万円で、前年度比0・0%の増。旧合併特例事業債の増等によるもの。臨時財政対策債を除くと6020億9800万円で、前年度比0・3%の減となった。貯金にあたる積立金現在高は3160億7千万円で、前年度比0・4%の減。財政調整基金2・6%減、減債基金1・2%減などによるもの。

 奄美の市町村の積立金残高をみると、奄美市(142億3300万円)、龍郷町(35億6800万円)、喜界町(31億2800万円)が上位。全市町村が10億円以上となっている。

 県内市町村の各種財政指標をみると、財政力指数0・29(前年度比0・01ポイント増)、経常収支比率91・7%(同0・8ポイント上昇)、実質公債費比率(3カ年平均)6・8%(同0・2ポイント低下)。このうち経常収支比率は県内市町村の31団体が90%を超えており、「財政構造の硬直化」が指摘されている。実質公債費比率の方は、7年連続で県内全ての市町村が18%未満となり、地方債の発行に許可を要する団体はない。

 奄美の市町村の場合、財政力指数の最高は奄美市の0・27で、全市町村が県平均以下。県内最高は鹿児島市の0・73。経常収支比率は知名町(94・5%)、実質公債費比率は和泊町(15・4%)が最高。なお、知名町の経常収支比率の高さは県内4番目、和泊町の実質公債費比率の高さは県内最高(ワースト1)で、上位5団体には与論町(県内4番目)、知名町(同5番目)も入っている。

メモ

 実質公債費比率 財政の圧迫状況を示し、地方債の返済およびこれに準じる額の財政負担の度合いを判断する指標。地方債協議制度の下で起債に協議を要する団体と許可を要する団体の判定に用いられ、18%以上の団体は地方債の発行に際し許可が必要、25%以上の団体は財政健全化計画の策定を前提として地方債の発行に際し許可が必要となり、35%以上の団体は財政再生計画の同意がなければ災害復旧事業債等を除き起債が制限される。