監視画像の犬と酷似?

クロウサギ大量死現場の監視カメラが捉えた犬(右)=9月27日午後9時20分(徳之島虹の会提供)。特徴が酷似、別の幼獣を襲っていた可能性の高い犬=1日午前、いずれも徳之島町母間

放し飼いで幼獣襲撃の目撃も 徳之島町
クロウサギ大量死

 【徳之島】先月26、28両日の午前、徳之島町母間の中山間地域の果樹園や農道など同一エリアで、犬に襲われたとみられる国指定特別天然記念物アマミノクロウサギ8匹の死骸が相次ぎ見つかった事案では2日夕現在、箱わなや監視カメラにも手掛かりは得られず、幸いクロウサギの被害続発の確認情報もぷっつりと止んだ。

 一方で同地域では、今回のクロウサギ滅失事案続発の前に伏線的に「クロウサギ幼獣を襲っていた放し飼いとみられる中型犬」が、農耕地内にある牛舎(闘牛用)敷地に帰るのが偶然目撃されていた。さらには、同幼獣を襲っていた中型犬(オス・薄茶色)は、26日の件を受けて関係機関・団体が設置した赤外線センサーカメラが27日夜に捉えていた犬の姿に、体形や体高(40㌢前後)ともに酷似していることが分かった。

 幼獣襲撃の件は、29日夜、クロウサギ被害続発エリアを警戒中だった県希少野生動植物保護推進員に対し、ハブ捕獲のため車で巡回中だった住民男性が情報提供。26日以前の夜、血だらけになったクロウサギの幼獣をくわえて農道を小走りしていた犬を目撃。幼獣は幸いにも身をよじって路上に落ちて、自力で藪の中に逃げ込んだ。犬はその直後、近くの牛舎敷地に帰って行ったことを証言している。

 翌30日朝、同牛舎を訪ねると、疑惑の犬には真新しい首輪が付けられて応急的に牛の鼻綱でつながれていた。一連のクロウサギ大量死との関連など断定には、犬歯痕やDNA鑑定などを要するが、犬の放し飼いが原因となった事例との指摘は否定できない。

 徳之島保健所や徳之島町などは防災行政無線を通じ、犬の放し飼い防止など適正飼養の啓発を続けている。同町の関係課は3日、改めて緊急対策会議を開く。くだんの無人の牛舎に係留の犬に関しては、飼い主を特定して飼育状況など事情を聴くことにしている。