地元関係者が登壇し、伝統文化の継承や発信など意見を交わした
戸口子ども会が同集落に伝わる八月踊りを元気いっぱいにパフォーマンス
県大島支庁は2日夜、龍郷町のりゅうゆう館ホールで第2回奄美世界自然遺産推進シンポジウム「奄美固有の伝統文化の継承・発信~奄美の将来のあり方を見据えた取組の方向性~」を開いた。地域で伝統文化の継承や発信をしている関係者が登壇し、パネルディスカッションで意見発表や意見交換が行われた。パネリストなどから、民泊で交流人口を拡大させたり、Iターン者や島外の奄美ファンも含め伝統文化の継承・発信に協力してもらうなどの提言があった。
開会で松本俊一支庁長があいさつ。「世界自然遺産登録を見据え、さまざまな角度からアプローチするシンポジウム。民間放送局や議員連盟などとも連携し、機運の醸成を図りたい」と話した。竹田泰典龍郷町長は、「きょうのシンポジウムを通じて、さらに伝承の取り組みが進むこと期待したい」と述べた。
オープニングイベントで、パネリストでもある西平せれなさんがミニライブ。祖母に方言を教えてもらい作詞したオリジナル曲など、3曲を情感たっぷりに歌い上げた。
パネルディスカッションでは、コーディネーターをNPO法人ディ!の麓憲吾代表理事が担当。秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長、同町地域おこし協力隊の村上裕希氏、西平酒造杜氏の西平氏、伝統工芸士の前田圭祐氏、大島北高聞き書きサークルOGの成瀬茉倫氏の5人がパネリストとして参加した。
オープニングスピーチで麓さんが、これまでの活動などを紹介。「島の良さを文化で伝え若い世代に島を誇りに思ってもらい、島を出たとしても島を意識し帰ってくるきっかけになるよう取り組んでいきたい」と発表した。
窪田さんは保存会会長として、伝承活動などを報告。「秋名幾里集落では若い家族連れが増えており、八月踊りを覚えようと取り組んでいる。自然遺産を実現し、交流人口増につなげたい」と語った。
村上さんは自身の移住経験や、取り組んでいる民泊など発表。「観光で地域の魅力をしっかり伝えることが、文化や伝統の継承につながるのでないか」と話した。
西平さんは黒糖焼酎の製造法や文化的側面などを、小中学生に説明した体験を紹介。前田さんは大島紬の製造販売に関わり、ネクストプロジェクトで小~高校の出前授業で大島紬の普及啓発活動を報告した。
成瀬さんは、全国どこにいても地域に貢献できるシステムづくりを研究する目的で東京の武蔵野大学に進学。「奄美全体がI・Uターン者などと地域資源を活用できれば、地域活性化できるのでないか」と話した。
また地元から戸口子ども会による八月踊りの舞台発表も行われた。
次回の奄美世界自然遺産推進シンポジウムは11月、大和村で開催予定。