奄美・沖縄経済交流会

奄美・沖縄経済交流会

奄美・沖縄経済交流会で基調講演した青木JTA社長(右)と常田さん(左)

共同体、両地域連携を
「自然うまく利用する戦略必要」

 奄美大島商工会議所と(一財)南西地域産業活性化センターは3日、奄美市名瀬の宴集会場で「2019年度第12回奄美・沖縄経済交流会」を開いた。基調講演で、両地域に誕生した世界自然遺産推進共同体や、世界自然遺産候補地としての自然の価値などが語られ見識を深めた。

 開会で、奄美大島商工会議所の谷芳成会頭と(一財)南西地域産業活性化センターの下地祥照専務理事があいさつ。谷会頭は、「奄美・沖縄のさらなる経済発展に向け、みなさんの支援と協力をお願いしたい」と話し、下地専務理事は、「奄美と沖縄、地理的に近く文化も似ている。観光振興に寄与する世界自然遺産を実現したい」と語った。

 県大島支庁の松本俊一支庁長(代読)と、奄美市の朝山毅市長(代読)が来賓祝辞。基調講演を、日本トランスオーシャン航空(JTA)の青木紀将・代表取締役社長と、奄美自然環境研究会の常田守会長の2氏が行った。

 青木社長は「世界自然遺産推進共同企業体について」と題し、沖縄で今年5月に発足した企業体の概要や活動を紹介した。「企業体はIUCN(国際自然保護連合)から警察などと連携し、希少種の密猟・密輸対策に取り組むよう指摘を受けたのがきっかけ。共同体の活動で水平的連携が取れる。奄美の共同体とも連携して、企業体の活動で自然遺産登録を確実なものにしたい」と語った。

 常田さんは「環境保護の視点から~世界自然遺産登録へ向けて~」と題して講演。奄美大島の自然について、沖縄に比べ深い森があるが原生林は存在しない点などを紹介した。

 世界自然遺産の登録基準の生物多様性で、推薦されていることを解説。常田さんは「奄美・琉球は、固有種や希少な動植物の生息・生育地。世界的に重要な生物多様性を持ち、世界自然遺産にならないといけない島」と強調した。

 またスライドで九州一のタンギョの滝や、湯湾川のシマオオタニワタリ大群落などここにしかない自然を明示。「これからは観光を持続できるよう、うまく自然を利用する戦略が必要になる」と結んだ。