国の地方創生交付金活用

奄美では延べ31事業、総額4・9億円
人材育成、産業振興などに 活用に群島内で偏りも

 国の「地方創生推進交付金」の2019年度交付対象事業(第2回)がこのほど、発表された。これまでの活用状況をみると都道府県は全て、市区町村は7割以上が活用した。奄美の自治体では5年間で延べ31事業に交付され、人材育成や産業振興などを推進する予算として総額4億9263万3千円が計上された(奄美新聞調べ)。

 地方創生第1期(15~19年度)の中で、国は今回の交付金制度をスタートさせた。交付金は自治体の自主・主体的な取り組みや、先進事業に支援をしようと、年間1千億円の予算を計上、重点配分される。

 奄美では、当初は、奄美大島5市町村が連携したDMO推進、沖永良部島2町による観光推進が展開されたが、16年度以降は、徳之島町や知名町、与論町が断続的に採択。全体的に見ても、南3島での事業実施が目立った。

 内閣府地方創生推進事務局によると、18年度までの4年間で、全都道府県、1741市区町村のうち約75%(1300団体)が交付活用したという。

 東京や埼玉など都市圏は4割台で利用率が低い一方、栃木、富山、鳥取など多くの過疎地を抱えた地域ほど利用率が高い傾向が表れている。ただ利用率が最低だった沖縄(22%)は「沖縄振興特別推進市町村交付金」の存在があり、交付金利用が低調となった要因と見られている。

 計7事業実施した徳之島町では、シマアザミのブランド化と人材育成を柱として、交付金を継続的に活用。知名町は17年度から3年連続で「シマ桑」を原料とした商品開発プロジェクトに取り組んでいる。

 両町の担当課は「複数年計画のため、長期的視点で効果的に進められた」と総括。今後について「交付金制度の継続は不透明。(実施は)総合的に判断したい」と担当者は口をそろえる。

 政府は地域課題の解消や観光促進などを視野に地方創生を進めてきた。第2期(20~24年度)の地方版総合戦略策定を前に全国の自治体に対し、従来の「縦割り事業」を超えた取り組みを促す構えだ。

 奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の交付金活用を重視する考えのある自治体担当者は「地域振興のため、予算措置のあり方を幅広く検討した上で、地方創生につながる事業を進めたい」。

 また別の自治体担当者は国の交付金活用が群島内で偏りがあることに、「予算確保のルートは異なるが、地域発展や産業振興につながる着地点となればいいのでは」との意見もあった。