大蛇踊りを奉納

暴れる大蛇を白い衣装の坊主が退治する場面=知名町上平川、殿智神社=

知名町上平川殿智神社 境内の完成祝う

 【沖永良部】知名町上平川集落の殿智神社で14日、整備を進めていた境内の完成を祝い、同集落に伝わる県指定無形民俗文化財の「上平川大蛇踊り」が奉納された。保存会のメンバーが操る大蛇の姿に、集まった地域住民から歓声が上がった。

 大蛇踊りを考案した幸山政孝翁を祭っている殿智神社は、1954年に建立され、毎年旧暦の1、5、9月の各15日に例祭が行われている。

 上平川大蛇踊り保存会の西村兼武会長(70)によると、これまでは神社境内が狭かったため、大掛かりな舞台装置が必要となる大蛇踊りの奉納が叶わなかったという。

 今年は幸山翁の没後320年にあたることから、境内の敷地拡張を計画。神社の隣接地で幸山翁が誕生したとされる土地を造成し、今月上旬に完成した。

 同日は、フクラシャ(御前風)の後、大蛇踊りが奉納された。柱に吊るされた大蛇を保存会のメンバーが巧みに動かして観客を魅了。空中で乱舞する大蛇を、白い衣装の坊主が退治した瞬間、大きな拍手と歓声が神社中に響いた。

 西村会長は「境内で大蛇踊りを奉納するのが集落住民の願いだった。みんなの協力があってできたこと。今後は大例祭(9月)で奉納していきたい」と語った。