裁判外紛争解決手続きに関する研修会
消費者トラブルを裁判ではなく、話し合いで解決する「裁判外紛争解決手続」(ADR)に関する研修会が16日、奄美市役所であった。県や同市、龍郷町、喜界町、瀬戸内町、大和村などの消費者行政担当職員や消費生活相談員ら15人が出席、独立行政法人・国民生活センターの内垣大輔氏がADRの概要説明や過去の事例紹介などを行い、消費者相談に関する知識を深めた。
インターネットなどの通信販売の増加に伴い、消費者トラブルも年々増加傾向にあり、奄美市消費生活センターの相談件数も増加傾向している。昨年度は約350件の相談が寄せられたという。こうした状況から、消費者を保護するため、行政担当者などにADRに関する知識を高める目的で研修会は実施された。
研修会では内垣氏が、ADRの概要を説明。「専門的な知識、経験を持つ委員が様々な解決策を検討していく。民事訴訟などの裁判による解決はハードルが高く、消費者側は泣き寝入りするケースも多い。仲裁によって少しでも、消費者の財産や権利が守られることが大切」などと話す一方、「消費者側がすべて納得できる形での和解に至らない場合もある。裁判にかかる費用や時間などを考慮した上で、最終的に判断してもらうことになる」と話した。
ADRは、消費生活上のトラブルで当事者間による解決ができない場合の紛争解決手段。話し合いでの解決を目指すことからトラブルの実情に応じて柔軟な解決が可能で、時間や費用もあまりかからず、手続きも非公開のためプライバシーが保護されるなどの利点がある。
手続きは、消費者が国民生活センターの紛争解決委員会に申請すると、同委員会が事業者への聞き取り調査や和解案などトラブル解決策を提示してもらうことができる。