原寸大の「掩蓋=えんがい=式観測所跡」の模型などを制作・展示した古仁屋中3年生の生徒達
瀬戸内町の古仁屋中学校(竹ノ山誠忠校長)は20日、同校体育館で2019年度文化祭を開いた。多彩な演目の舞台発表や、合唱大会で盛り上がった。展示も充実しており3年生は、町内に点在する戦跡の模型を制作・展示。原寸大で作られた段ボール製の「掩蓋=えんがい=式観測所跡」(西古見)の模型は訪れた人々の注目を浴びた。
今年の同校文化祭テーマは「『響』~新たな時代を紡ぐ・青春のメロディ~」。午前中に舞台発表9演目、午後からは各学級による合唱大会を実施。このほか会場内に11種類の展示発表が並んだ。
3年生は「見て、さわって、動かせる瀬戸内町の戦争遺跡模型」を制作。段ボールや発泡スチロールで、▽震洋艇格納庫跡(加計呂麻島押角)▽弾薬庫跡(手安)―など、4史跡のミニチュア模型を展示。リアルに作るため表面に写真を貼り付けたり、扉を働かせるようにしたりと、工夫が凝らされた。
中でも目を引いた掩蓋式観測所跡の模型は高さ約2・5㍍、幅約3・5㍍にもなる力作。中に入ることもでき、子ども達にも人気だった。制作した3年生展示係の有田樹生君は「戦争の爪痕を残す戦跡を、後世の人に伝えるため、展示を決めた」と話す。制作期間はわずか約3週間。同係10人の生徒は、同校教諭や町教育委員会埋蔵文化財センターの協力を得て、現地見学や資料を元に作ったという。
舞台発表は生徒会執行部によるソーラン節でステージは幕開け。2年生は修学旅行での戦争学習を踏まえ、奄美群島日本復帰を題材にした劇を披露。米軍統治下の悲惨な食糧・教育環境や、復帰に向けた活動を演じ、「65年前に日本復帰を目指した人達の"シマッチュ魂"を受け継いでいかなければならない」というメッセージを訴えた。