市議選スタート

選挙戦がスタート。支援者とともに気勢を上げる立候補者(20日午前9時半、名瀬地区)=一部加工しています

「次世代の安定した暮らしを」
防災や雇用対策などの推進公約
有権者、注文厳しく

 奄美市議会議員選挙は20日、告示された。24人の候補者が届出を済ませ、大票田の名瀬地区を中心に選挙戦をスタート。各陣営は選挙事務所で出陣式を行い、気勢を上げた。災害に強いまちづくり、暮らしの安定、雇用拡大…。立候補者の訴えに有権者はどう受け止めているのかを聞いた。

 新人候補の一人は「いまの議会は国からのトップダウンで施策の方針を決めている。党・会派を超えて、地域に必要な政策を実現したい」と出発式で第一声を上げた。

 ある若手現職は告示日の9年前、奄美豪雨が発生したことに触れ、「あの災害を教訓に、防災と減災に取り組みたい」と強調。引き続き、安全で安心なまちづくりの実現に力を込めた。

 現職のベテラン議員はこれまでの政治活動を振り返り、「自分の存在意義として力を出し切ってきたが、負託に十分応えられなかった部分もある。もう一度、政治のステージに立たせてほしい」と出陣式に集まった支援者の前で声を張った。

 いずれの候補者も、地域の暮らしや安全を重要公約に掲げている。

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 選挙戦初日から選挙カーや徒歩で名前を連呼し、精力的に活動する各候補者。市民からは政策や提案だけでなく、議員に対しても厳しい注文が及んだ。

 名瀬の男性会社員(50)は「自衛隊誘致、海と空の観光拡大で交流人口の伸びは好調。この追い風を生かして次世代が安定して暮らせる振興策を進めてほしい」と期待感を示した一方で、今回の立候補者の動向に「年齢層がやや高め。30~40代の参加がもっとあってもいい」とも話した。

 中学生の子どもを持つ名瀬地区の主婦(47)は教育支援を要望。「部活動の遠征費がばかにならない。高校や大学進学の経費が莫大になることも心配。離島ハンディの解消策として、授業料無償化を検討してほしい」と子育て世代の悩みを訴えた。

 起業を考えているという名瀬の男性会社員(28)は「Uターンして就職したが給料が本土と比べとても低い。雇用問題と合わせ、賃金格差を解消しないと定住につながらない」。また笠利町の農業の男性(63)は「後継者がいない。就農機運を盛り上げる施策は急務だと思う」など、就労面での改善策を求めた。

 そのほか「地域の声を聞いてくれる議員が少なくなった。過疎地は見向きもされないのかと、さびしく感じる」(住用地区の自営業の80代女性)、「自衛隊基地のある上方地区ばかり、にぎわいを見せている。地域の活性化を均等にしてほしい」(名瀬地区の無職の60代男性)―など現状を踏まえた切実な意見もあった。