『与論島の山さん』26日発売

本を出版した薬草研究家の山悦子さん(右)と制作に協力した佐藤伸幸さん(左)=与論町=

命救った薬草、40年以上研究
「みんなの健康が私の願い」

 【沖永良部】与論町の薬草研究家、山悦子さん(78)が書いた本『与論島の山さん 薬草に捧げた人生と幸せな終末へのメッセージ』が26日、角川書店から出版される。島の薬草に命を救われ、その研究に没頭した人生を振り返った一冊。山さんは「薬草は私たちの身近な場所にあるもの。日常生活でぜひ使って欲しい。みんなが健康でいるのが私の願い」と語った。

 30歳の時に脳腫瘍が見つかり余命宣告を受けた山さんは、幼い頃から母親に教わってきた島に自生する薬草を食事療法に取り入れた結果、病気を克服。この経験をきっかけに島の薬草について、40年以上にわたり研究を続けてきた。

 「すぐそこに生えているヨモギやミツバ、クワなども薬草だよ」と話す山さん。現在も薬草研究家として活躍中で、心身に悩みを抱える人や研究者など国内外から年間300人ほどが相談に訪れるという。

 本には、山さんの生き方や伝えたい思いのほか、薬草の効能、山さん考案の薬草を使った料理レシピなどを紹介している。巻末には、与論町のパナウル診療所の古川誠二医師と与論民俗村の菊秀史村長の特別インタビューを収めた。

 本の構想から出版まで3年半。制作にあたっては元与論町地域おこし協力隊で同町在住の佐藤伸幸さん(37)が協力した。「山さんを含めて与論島のお年寄りは、共通した死生観を持っていて、それが人への感謝につながっていると思う。山さんを通じて与論島の魅力や美徳を多くの人に伝えたい」と語った。

 全国の書店やインターネットサイトで販売される。価格は1500円(税抜き)。