県立大島病院から摘出された臓器が移送された(22日午前9時半撮影)
東京の(公社)日本臓器移植ネットワーク(=移植ネット)は21日、奄美市名瀬の県立大島病院(石神純也院長)で、くも膜下出血により入院中の50代男性が臓器移植法に基づき脳死と判定されたことを発表した。家族が臓器提供を承諾したことを受け、22日午前、同病院から鹿児島大学病院ほか各地の待機患者への移植に向け臓器が移送された。全国で641例目、県内では7例目となった。
移植ネットによると同病院からの連絡後、脳死判定を第1回(18日午後7時59分)、第2回(20日午前10時半)実施。家族の同意を得て、提供臓器は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵=すい=臓、小腸、眼球と決定した。
摘出手術は22日朝、同病院内で行われ、県防災ヘリのほか、消防車両やタクシーで搬送後、奄美空港から全国の受け入れ機関に向け空輸された。なお同病院での移植措置は昨年9月に続き、3例目となった。
搬送先の医療機関(移植患者)は、腎臓は鹿児島大学病院(50代男性)。また心臓と、腎臓・膵臓同時移植で大阪大学医学部付属病院(50代男性、40代女性)、肺は千葉大学医学部付属病院(30代女性)、肝臓は福島県立医科大学付属病院(60代女性)―と公表。なお小腸は医学的理由で断念した。
石神院長は家族の意思による臓器提供に謝意を示し、「移植を受ける患者さまの順調な経過を期待したい」とコメントした。
臓器不全の患者を救うため1997年「臓器移植法」が制定。2010年の改正で本人の意思が不明な場合でも家族の承諾による臓器提供が可能となった。
移植ネットによると移植を待つ患者約1万4千人に対し、移植を受けられる人は年間400人程度という。