農業気象・防風対策研修会

農業気象・防風対策研修会

農家・行政関係者など約60人が参加した農業気象・防風対策研修会

経営安定に向け防災知識
「温室も自分の財産」 常日頃チェックを

 「農業気象・防風対策研修会~台風から農業用施設を守れ~」(農業経営者クラブ大島支部・大島地区指導農業士会・県大島支庁農政普及課主催)が24日、奄美市名瀬朝戸の市農業研究センターであった。気象に関する基礎知識についてや、施設の防風対策についての講演があり、参加者は経営安定に向け防災の知識を深めた。

 同研修会は災害による農業被害軽減に向けた施設等の防風対策、気象情報活用に関する知識を身につけることで、担い手農家の経営安定や新規就農者の定着を目的としたもの。農家やJA、行政関係者ら約60人が参加した。

 研修は講演2本立てで実施。まず名瀬測候所の平田広大技術専門官が登壇し、台風に関する基礎知識や台風情報の見方、雨の降り方や霜への注意など奄美大島の気象全般について解説。奄美大島の雨の降り方については、「夏場の方が、雨が降りづらい年もある。最近の傾向では降るときと降らないときの両極端になりがち」とした。このほか気象庁HP、同庁が公開する「農業気象ポータルサイト」の紹介などを行った。

 後半は農研機構農村工学研究部門農業施設ユニットのスタッフ・森山英樹氏が「農業用施設等を災害から守るための防風対策」とのテーマで講話した。ハウスの風害事例の写真を示し、その被災原因を解説。地盤の飽和、基礎の埋設不足、部材の腐食などを挙げ、「一回ハウスを建てると、土の中にはあまり関心が向かないが、『温室も自分の財産』という思いで、常日頃チェックしてほしい。基礎部分に水を溜めないという意識が大切」と強調した。

 また、風洞実験(施設内で人工的に風を発生させ、再現する実験)で、強風が吹いた際にハウスのどの部分に圧がかかるかを解説。一棟のみ、隣接棟がある場合などに分け、負圧(浮き上がろうとする力)がかかる部分などを説明。ハウス鉄骨の腐食防止のためにペンキを塗るなどしている優良事例の紹介なども行った。