奄美小で県小学校道徳教育研究大会

道徳科の指導や評価に関する講演を行った文科省の浅見教科調査官

「考え、議論する道徳に」
文科省浅見氏が講演

 2019年度第54回県小学校道徳教育研究大会大島大会(県小学校教育研究会道徳部会主催)が25日、奄美市名瀬の奄美小学校で開かれた。参加者は「特別の教科 道徳」と教科化された道徳科の公開授業や分科会、文部科学省教科調査官による講演を通して、「考えて議論する授業」や、指導と評価などの見識を深めた。

 同大会の研究主題は、「豊かな関わりを通して、共によりよく生きる子どもを育てる道徳教育の創造~自己の生き方への考えを深める道徳科授業の在り方~」。奄美大島内、沖永良部島や徳之島、鹿児島市、伊佐市などから教育関係者等約90人が参加し、基調提案に続いて1、5年生の2学級で道徳科の研究授業を公開。2分科会で研究協議が行われ、全体会で講演があった。

 5年生のクラスでは、「自然を守る力」を主題として冨吉浩太郎教諭が授業。授業のめあてを「美しい自然を残すためには、どうすればよいだろうか」と設定し、児童たちに自分たちとの関わりで個人やグループで道徳的価値を考えてもらう指導を行った。また授業には奄美博物館の平城達哉学芸員も加わり、後半部で児童らに奄美の自然のすばらしさを紹介した。

 講演を文科省初等中等教育局教育課程課の浅見哲也教科調査官が担当。「今、求められる道徳科の指導と評価」の演題で、道徳科の目標や実践的指導、主体的・対話的で深い学びなどを解説した。

 道徳科の目標は、▽道徳的判断力=それぞれの場面で善悪を判断する能力▽道徳的心情=道徳的価値の大切さを感じ取り、善を行うことを喜び、悪を憎む感情―などを児童に育むことと定義。浅見教科調査官は「道徳科は、『考え、議論する道徳』に授業が質的転換する必要がある」とした。

 道徳科の評価では、児童生徒の成長の状況を総合的に捉え記述する評価を肯定。「児童にとって心の成長につながる一番の評価は、信頼できる先生に認められること。ぜひ深い学びにたどり着く授業を行ってもらいたい」と総括した。