成年後見制度の中核機関

成年後見制度普及啓発に関する協議会設置に向けた意見交換会で、中核機関設置に関する説明があった

奄美市・大和村・宇検村、普及啓発・利用促進へ
県内初設置 あまみ成年後見センターに委託

 奄美市・大和村・宇検村の3市町村はこのほど、NPO法人あまみ成年後見センター(勝村克彦理事長)に中核機関としての業務を委託し、3市村共同で中核機関を設置した。今後、同NPOは、相談対応、制度の普及啓発などの役割を担うこととなる。中核機関設置は県内の市町村で同3市村が初めて。

 成年後見人は、認知症や知的障がいなどを理由に判断力が不十分な人に対し、福祉サービスの契約や、財産管理を代行する人。鹿児島地裁名瀬支部管内の被後見人数(補佐・補助・任意後見を含む)は87人。国は2016年、「成年後見制度の利用と促進に関する法律」を施行し、自治体に対し、制度の普及啓発や成年後見制度利用促進基本計画の策定、中核機関の設置に努めるように促している。

 同NPOは15年から17年まで奄美市で養成講座を実施。これまで92人が修了している。昨年5月には家裁からの認可を受け、法人として業務受託を行っている。

 奄美市は昨年度の市町村の包括支援センター集まる会合で、共同での中核機関設置を提案。了解を得た大和村、宇検村とともに、プロポーザル団体を募集し、中核機関業務の委託先を募集。9月19日のプロポーザルを受け、同NPOを選定。10月1日から3市村それぞれが同NPOに業務を委託した。

 3市村は同NPOに対し、①相談対応②申し立て支援③権利擁護支援のための地域連携ネットワークの充実・市村の基本計画策定への協力④制度の普及啓発⑤後見人のサポート―を依頼している。奄美市の永田孝一高齢者福祉課長は「中核機関設置はあくまで手段。目的となる制度の普及啓発、利用促進が進められるように協議を進めていきたい」としている。

 また3市村は、制度の普及啓発・利用促進に向け、「奄美大島成年後見制度地域連携ネットワーク協議会」(仮称)の設置準備も推進。24日夜には奄美市役所で設置に向けた意見交換会を開いた。勝村理事長のほか3市村の行政、司法、福祉関係者らが出席。出席者からは中核機関に対する期待が多く聞かれた一方、「ニーズ調査、ニーズ発掘からすべきでは」、「現場では後見人が必要との声も聞くが、申請者が少なく利用につながっていない」などの今後の課題についての意見も挙がった。

 協議会は同NPOが事務局を担う形で、年内に設置される予定。勝村理事長は「やっと普及啓発や利用につなげていくための体制ができ、次のステップに上がったところ。親族後見人や福祉関係者らが一つのチームとして被後見人を支えていく体制づくりを進め、意見交換を行うなどしたい」とした。また市民後見人養成講座についても、「定期的に行う必要があり、来年度か再来年度から2、3年に1回は実施していきたい」と語った。