幅広い世代が参加した鹿児島大「奄美群島の植物教室in徳之島」(最終回1日目)=26日、徳之島町手々
【徳之島】鹿児島大学・国際島嶼=しょ=教育研究センターによる一般対象「奄美群島の植物教室in徳之島」の第3回野外観察会・勉強会(最終)が26日、徳之島町手々集落周辺であった。小学生から80代まで約20人が参加。同センター特任教授の鈴木英治氏(理学博士)ら専門家を講師に、生物多様性の一端を学んだ。27日は同町林道の「山クビリ線」で観察する。
世界自然遺産になろうとしている奄美群島には貴重な植物が多数生育。だが、多様で変異に富んだ植物を見分け、その価値を実感することは簡単ではない。そのため、名前を覚えるだけではなく、植物教室を通してその形の深化的・生態的な意味を知り、より深く植物を理解してもらうのが目的。
年間1島を対象に3回(6日間)のシリーズで計画。今年度対象の徳之島は5月11、12日に第1回、8月3、4日に第2回を実施。最終回の講師は鈴木氏と、同センター奄美分室のプロジェクト研究員(学術博士)の宋多情(ソン・ダジョン)さんが務めている。
1日目・26日の午前中は、手々集落周辺や海岸部などを巡って観察会。参加者らは、徳之島が北限で同地区の1ポイントでしか確認されてないという植物や、日ごろ見慣れつつも知らなかった正式な学名を熱心にメモし、写真に収めた。午後は手々公民館で植物写真の同定・整理、鈴木氏らの講義を受けた。
鈴木氏は「写真とか整理してリマインド(再確認)すると覚えやすい。本に『生物多様性が高い』とあっても、名前や種類が分からなければ、本当の意味の『高さ』に実感がわかないと思う。実感してもらうことが、島の自然の価値を再認識することにもつながる」と語った。
参加者の1人・徳之島エコツアーガイド連絡協議会の美延睦美会長は「ガイドさんら自身も研修を重ね勉強を続けることが、より多くの情報をお客さんに提供でき満足していただける。生物多様性も海岸部を含め全体的に知ることが、森林部の観察ツアー負荷の軽減・分散にもつながると思う」と話した。
次年度以降は沖永良部や喜界島でも計画するという