あまみ療育ねっとワーク

上映会場のりゅうゆう館で発達障がいなどへの理解と支援を求めたあまみ療育ネットワークのメンバーら

周囲の支援が自立へ 発達障がいの青年の自立描く
ドキュメンタリー映画 奄美市と龍郷町で上映会

 発達に問題を抱える人やその家族、支援する人たちでつくる「あまみ療育ネットワーク」は1、2日、奄美市と龍郷町で発達障がい(自閉症)の青年を追ったドキュメンタリー映画「描きたい、が止まらない」(近藤剛監)の上映会を行った。2日間で200人近くが来場、障がいを抱えながらも絵を描き続け、周囲の支援を受けながら自立を目指す主人公の姿に、観客らも感動していた。

 同映画は、滋賀県東近江市出身でアール・ブリュット(生の芸術)分野で、絵が世界的に評価されている古久保憲満さんが発達障がい(自閉症)を抱えながら、縦1・6㍍、横10㍍の巨大な作品を完成させる過程と、自立に挑む姿を描いたドキュメンタリー映画。1日は奄美市名瀬の映画館「シネマパニック」、2日は龍郷町のりゅうゆう館でそれぞれ上映会を開催した

 会場には、発達障がいを抱えた人や家族、支援団体の関係者のほか、一般市民も詰めかけ、映画を通し、発達障がいなどについて理解を深めた。

 古久保さんは、幼いころから絵を描くことで気持ちを落ち着かせていたが、その独特の世界観で描かれた街や乗り物をモチーフにした絵が、世界的に評価されるようになった。映画は古久保さんが感情の揺れや困難に立ち向かいながら、勇気を出して新たな一歩を踏み出す過程を描いている。

 2日のりゅうゆう館での上映会に参加した県立大島養護学校教諭の永吉美鈴さん(44)は「両親のサポートなど周囲の支援で絵を描き続けられたことで、古久保さんの才能が開花した。障がいを持つ子どもたちの可能性を改めて感じるとともに、社会とのつながりなど障がい者の自立に向けた支援の充実にもっと取り組まないといけないと思った」と話した。

 上映会を開いた同ネットワークの白浜幸高代表(48)は、「多くの人に映画を見てもらうことができてよかった。自閉症という障がいとしっかり向き合いながら懸命に生きる古久保さんの姿から多くのことを感じてもらえたと思う。この思いを共有し、発達に問題を抱える人や障がい者を支援するネットワークを広げられるようにしていきたい」と話した。