薬剤散布で防除する奄美市の作業員
落ち葉の下に生息していたヤスデ
不快害虫のヤンバルトサカヤスデが奄美市で大発生の兆しを見せている。10月中旬ごろから平田町や和光町などの山すそ地域を中心に、大量のヤスデがブロック塀や落ち葉の下などで発生していることが同市に報告されており、今月に入ってからも矢之脇町や佐大熊などで発生の報告があった。同市での大量発生は9年ぶりだが、発生場所は以前の大量発生時に比べると局所的。市環境対策課は「春の発生期の駆除対策で一定の効果が上がっているが、根絶は難しい。見つけたら市へ連絡してほしい」と呼び掛けている。
ヤンバルトサカヤスデは、農作物に被害を与えたり、人を咬んだり刺したりはしないが、たびたび異常発生し、落ち葉の下や日当たりの悪い湿気のある場所などに、おびただしい数で生息、壁や塀によじ登ったり、家屋の中に侵入し、不快感を与えるため不快害虫とされている。台湾原産の外来種で、沖縄などから日本へ入ったとみられる。県内では徳之島で91年に初めて確認された後、奄美諸島に拡大し、99年に県本土へ上陸、生息域を拡大している。
奄美市では近年、1、2カ所程度での発生報告があるだけで、大量発生はなかった。しかし、今年4月ごろから市民の通報が急増。名瀬、住用両地区で大量発生が確認されたことから、市が薬剤散布などの防除対策を実施していた。
ヤスデの発生時期は、亜生体期(幼虫)の4~6月と、10~12月の生体期(成虫)の年2回の発生時期がある。市環境対策課は、春の防除に続き、10月中旬ごろから防除作業を再開。市民からの情報を受け、発生地域で防除作業をしており、5日も矢之脇町と佐大熊などの山すそ地域で薬剤散布などを行った。佐大熊では、山すそにある側溝周辺に固まって生息する大量のヤスデが確認された。
近くに住む女性(57)は、「昼間は見えないが、夜になると死んだヤスデの異臭がすることがある。大量発生しないよう、落ち葉などの清掃を徹底したい」と話した。
市環境対策課は対策として、「山すそなど生息しそうな地域では、伐採や落ち葉の清掃などで日当たりをよくすることで、大量発生を防ぐ効果がある。見つけてもつぶしたり焼いたりせず、落ち葉などと一緒に可燃ごみとして処分してほしい」と呼び掛けている。
市は防除用薬剤の購入費半額補助も行っており、JAあまみなど市内5カ所で購入できる。ヤスデ対策に関する問い合わせは市環境対策課(0997―52―1111)へ。