奄美博物館「湯湾岳いきもの観察会」

平城さん(右)が湯湾岳の固有種などを解説した

世界自然遺産候補地の固有種や希少種など学ぶ

 奄美博物館は8日、大和村側の湯湾岳山頂付近で「奄美博物館リニューアルオープン記念湯湾岳いきもの観察会」を開いた。親子連れなど40人が参加。観察地は奄美群島国立公園の特別保護地区になっており、講師から世界自然遺産候補地の固有種や希少植物等を学んだ。

 現地は貴重な自然が残っているが、一般の人が気軽に行ける場所でなく訪れていない人も多いことから、自然体験をしてもらう目的で開催。同館の関わる観察会では、湯湾岳は初めて。

 講師を同館職員の平城達哉さんが担当。参加者は同村のフォレストポリス駐車場に集合し、車を乗り合わせて湯湾岳の同村側駐車場に移動した。

 参加者に写真入りの説明資料が配布され、駐車場周辺の林道を散策。平城さんがアマミヒメカカラなどの固有種が生えている地点で、足を止め参加者に特徴などを解説。また林道上にはアマミノクロウサギのフンが落ちている場所もあり、平城さんはフンを見せて「クロウサギを保護することで、フンを食べる虫も守られる」と生態系の一部を紹介した。

 続いて神社のある広場まで続く木道を、参加者は縦一列になり移動。平城さんは「これまで固有種のユワンツチトリモチとされていた植物は、研究者の報告で屋久島に分布するヤクシマツチトリモチと同じ種であることが分かった」と同種の花が咲いている地点で説明した。

 広場に出て神社の前で、同館の久伸博文化財課長が奄美の信仰について解説。「奄美では水平方向から神が来るという信仰と、山岳信仰の2種類がみられる。この場所は戦時中に、大和村や宇検村の人などが登り武運長久を願ったとされている」などと紹介した。

 その後広場から湯湾岳山頂に向かいながら、道中で植物観察や野鳥の鳴き声を聞いたりして散策を楽しんだ。

 龍郷町から参加した内野灯=あかり=さん(7)・歩=あゆみ=さん(9)姉妹は、初めて湯湾岳に来たという。二人は「ヤクシマツチトリモチが、赤くて丸くかわいかった」(灯さん)、「湯湾岳には見たことのない植物多かった。苔を触ってふわふわしていた」(歩さん)と話した。