ICT活用「スマートコーチ」

ICT活用「スマートコーチ」動画も基に直接指導も(右・鹿屋体育大・藤井監督、左・徳之島高の吉田監督)=17日、徳之島高グラウンド

初のスピードガンも活用した「スマートコーチ」動画撮影も

鹿屋体育大―徳之島高野球部 ソフトバンクCSRで離島初

 【徳之島】国立大学法人鹿屋体育大学野球部(鹿屋市、藤井雅文監督・部員50人)は県立徳之島高校野球部(徳之島町、吉田公一監督・部員25人)に対し17日、ソフトバンク㈱(本社・東京都港区)のICT活用の部活動遠隔サポート「スマートコーチ」の試験運用を始めた。全国離島地域および鹿児島県内では初。同通信技術を活用した遠隔地・離島のハンディ克服、技術向上に期待を寄せ合った。

 ソフトバンクがICT基盤を通じ進めているCSR(社会的責任投資)活動分野の中の「次世代育成―未来を担う子供たちにICTを活用した教育機会の提供」の部活・スポーツ支援の一環。11月末現在で全国48自治体の計98校135部活(卓球・バドミントン・ダンスなど)で実施。全国離島、鹿県内は初の試験運用という。

 具体的には、ソフトバンクが「スマートコーチ」用タブレット端末などICT機器を鹿屋体育大と徳之島高の両野球部に貸与。同高球児らは1週間に1回程度のペースで自分たちの投打フォームなどの動画を同大野球部に送付し、同大部員たちからフォームや技術面などの遠隔指導を受けるシステム。

 17日に徳之島高で3者が記者会見し、ソフトバンク側は「数分間の動画が瞬時に送れる通信環境のICTを活用する遠隔指導で関与。日本唯一の体育専門大の鹿屋体育大は、アスリート育成の設備が整っている。先生方の知見も生かせる」。同体育大と徳高両野球部のリンクは、吉田監督(45)が同大修士課程に在籍し、前任校の鹿屋工業高では練習試合で交流していた縁も。

 スマートコーチ交流のメリットに、藤井監督(30)は「学生(部員)たちはアウトプット(成果還元)することで、自分たちの勉強が生かされる。さらにアドバイスすることは責任が伴うのでよりインプット(学習)の質も上る」。吉田監督は「この島に居ながらタブレットを通じてコーチングをいただけて、指導上の視点の気づきにもなると思う。生徒たちは受け身にならず主役になるように、良い点を還元していけたらと思う」。

 部員たちは放課後の部活練習で早速、球速測定のスピードガンも用い、ピッチングとバッティングをフォーム録画してチェックを受けた。

 主将の太良瞭希さん(2年)は「都会ではうまい選手が多い中、離島の自分たちは少ないチームでしか練習試合が出来ない欠点も。今まで無かった球速測定器も活用。外部の人に見せることでレベルアップができ、目標も見えてくると思う」と話した。

 試験運用は来年3月末まで。同社は「結果をみて中学生への拡大も検討したい」としている。