サトウキビ食害の拡大を受けてあった「徳之島におけるイノシシ被害対策研修会」=18日、天城町
【徳之島】サトウキビ食害が深刻化を受けた「徳之島におけるイノシシ被害対策研修会」(県大島支庁・徳之島地域総合営農推進本部共催)が17日、天城町防災センターであった。県環境技術協会の塩谷克典氏(農学博士、県鳥獣被害対策アドバイザー)が演題「農家ができる寄せ付けない対策と効果的な捕獲方法を」でノウハウを説いた。
徳之島3町の生産農家など関係者ら約130人が参加。大島支庁農政普及課によると、イノシシによる島内農作物被害額の9割弱はサトウキビ。2012年度の約7千万円をピークに減少し近年は1千万円前後で推移していた。だが今年度の被害認定面積(農業共済12月9日現在)は1447㌃となり早くも前年度(629㌃)比約2・3倍に増加。島北部の山間部を中心に、海岸部にも被害が広がっている。
塩谷氏は全国的な鳥獣被害の増加例に「鳥獣はもともと〝山の生き物〟ではない。平地はヒトがいなければ餌が多くて過ごしやすい場所。ヒトの作りだす農作物はものすごい餌資源供与になる」。野生鳥獣と人間の攻防の歴史もひも解きながら「イノシシなどが里に降りてくるのは『山に餌がないから』はウソ」。労せず平地で農産物の味をしめたことが原因と解説。
その上で、「集落で行うべき被害対策の第一点は集落の〝餌場化〟を止める。野菜くずや落ちた果実の放置をやめるなど残渣(ざんさ)を無くす」。侵入防止柵も「張りっぱなしではダメ。どんな柵も放置すれば破られる。電気柵もきちんと管理しないと効果がない。1人で管理するより集落で設置して穴を塞ぐなど管理するのが最近の流れ」。
ほか効果的な狩猟の重要性やわな・捕獲手法の改良などについても専門的に解説した。