捕獲検討会

行政や関係機関がノネコ捕獲作業のあり方を協議した

発生源対策が急務
ノネコ捕獲110匹 新規個体流入も浮き彫り

 生態系保全を目的とした奄美大島島内のノネコ捕獲に関する検討会(座長・石井信夫東京女子大学教授)が24日、奄美市名瀬長浜町の奄美文化センターであった。昨夏から始まったノネコの捕獲作業実績(110匹)や飼い猫の飼養状況などを報告。関係機関は、急務となっている発生源対策に連携して取り組むことを確認した。

 環境省沖縄奄美自然環境事務所の主催。この日は同省や5市町村、関係団体の担当者など約40人が出席した。

 報告によるとノネコの島内生息数は推定600~1200匹。昨年7月から今年11月までに捕獲したノネコ88匹のうち、避妊・去勢手術を施していない非「TNR」個体は79匹。またピンポイント作業での捕獲数は22匹となった。捕獲開始前から検証エリア内確認数は減少傾向で、生息密度は低下傾向などとした。

 また奄美大島ねこ対策協議会(事務局・同市環境対策課)は18年度飼養状況を説明。TNR事業がスタートした13年度と比較して登録数は1・5倍、TNR率は2倍弱、マイクロチップ装着率は4倍、それぞれ伸びている要因に市民の管理意識の高まりを挙げた。

 一方で、山間部に設置した自動撮影カメラによるモニタリングでは妊娠と思われる個体や親子も確認されており、新規個体の流入がとまらない実態が浮き彫りに。継続的な捕獲で個体数の増加は抑えられているが、検討委員は「山中繁殖の取り除きや捕獲エリアの拡大など発生源対策が最重要」と指摘した。

 石井座長は「捕獲実績は出ているが、ノネコの全体数から見るとまだ少ない。引き続き効率的な手法に取り組みたい」と結んだ。

 そのほか検討会では、カゴわなへの混獲対策やモニタリングの精度を向上させる工夫などを紹介し、効率的な実態把握につとめることで一致。今後マイクロチップ装着会など啓発イベントの積極的な展開を図るとした。

 同事務所野生生物課の中村仁希少生物係長は「現状を一定程度把握できた」と取り組みを総括。捕獲作業の推進を重視した上で、「県や地元自治体、関係機関との連携は一層重要となる」と述べた。