密やかに開花 徳之島固有種2題

独特の筒状の花を咲かせ始めたオオアマミテンナンショウ=14日、伊仙町


ひっそりと可憐な花を広げ始めたタニムラカンアオイ=14日、天城町

オオアマミテンナンショウ タニムラカンアオイ

 【徳之島】世界中で徳之島にだけ自生し、生物多様性を彩る同島固有種の「オオアマミテンナンショウ」(サトイモ科)と、「タニムラカンアオイ」(ウマノスズクサ科)。開発や盗採など絶滅危惧の圧力に瀕しつつも一種独特な形をした花を密やかに広げ、自己主張を始めていた。

 「オオアマミテンナンショウ」は環境省レッドリスト最高位の絶滅危惧IA類(ごく近い将来に絶滅危惧の危険性が極めて高い種)に区分されている。同じサトイモ科で同島固有種の「トクノシマテンナンショウ」が高山部に分布するのに対し、低地の石灰岩地の崖や林縁に分布する。1~2月にかけて仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる筒状の花を咲かせる。

 「タニムラカンアオイ(タニムラアオイとも)」は1994年に新種と記載されたばかり。開花時期は1~3月。ハート形の葉に隠れるように、先が3つに咲けた筒状の萼(がく)からなる紫色の原生的な花をつける。

 徳之島の狭い限られた森林の斜面などで確認。環境省の絶滅危惧種区分はないが、徳之島3町は採取禁止植物に指定(12年1月に条例施行)して保護・監視している。

 いずれも世界自然遺産価値の生物多様性を彩る代表的な植物種。14日現在、オオアマミテンナンショウの公共施設敷地内の小群落分はすっかり消滅。森林内のタニムラカンアオイの群落ポイントは1年前に比べて明らかにバルブ数が減っていた。監視体制の一層の強化が求められる。