意外な〝わんぱくぶり〟の一面も見せたクロツラヘラサギ(山田文彦さん撮影)=10日、天城町浅間海岸
暖かい徳之島を満喫しているクロツラヘラサギたち(その他はコサギ)
ヤツガシラ(右がくちばし)=14日、天城町平土野で
【徳之島】渡り鳥たちの越冬地の一つ天城町浅間海岸の干潟には今シーズンも、絶滅危惧種のクロツラヘラサギ(トキ科ヘラサギ属)が計5羽飛来している。長年観察を続けている自然写真家が、「意外と短気もの?」と思わせるようなユーモラスな一瞬を撮影。同町平土野の河川沿いでは別の珍鳥・ヤツガシラの姿も捉えていた。
クロツラヘラサギ(環境省・絶滅危惧1B類)は、朝鮮半島の西側の黄海上や中国の遼寧省、ロシアのピョートル大帝湾周辺の地域などで繁殖。越冬地は台湾、香港、マカオ、ベトナム、日本など。世界の生息数は2000年調査で660羽、保護機運の高まりもあってか年々回復し、16年は3356羽とのデータ(香港バードウォッチングソサエティ)も。
天城町統合運動公園と徳之島空港に面した浅間海岸。長年観察を続け、同公園の野鳥観察台「トリトリデッキ」設計にも携わった自然写真家・山田文彦さん(53)=浅間在住=によるとクロツラヘラサギは毎年平均3、4羽ずつ飛来し昨冬は6羽、過去最多の確認は8羽。今シーズンの5羽(15日現在)のうち1個体は1年余留まったままで「世界的にも〝越夏〟場所の調査はされていない。(浅間海岸干潟・干瀬の)環境に適応し始めたのでは」とみる。
意外な〝わんぱくぶり〟のショットについては「目の前でチョロチョロと採餌する若い個体が邪魔くさかったみたいで、ちょくちょくハムッと咬(か)みついていた。ハムッが愛情表現だったりすると面白いのだが…」とも。
ヤツガシラ(ヤツガシラ科)は、くちばしは黒く細長く下に曲がり、頭には広げると扇状になる冠羽が特徴。「毎年3月に確認しているがこの時期は珍しい。他の奄美各島からの情報はない」。他の野鳥情報を含め「情報を発信・提供し合い共有するネットワークづくりも必要」と山田さん。