バス停に“島ゆみた”表記を

試験的に設置されたバス停とともに写る喜界島言語文化保存会の生島代表(中央)と緋月副代表(左)=同会提供

喜界島保存会 日頃から方言に親しむために
6月末までに全61停留所に設置へ

 喜界島言語文化保存会(生島常範代表)は、島の方言“島ゆみた”に日頃から親しんでもらおうと、島内の全61カ所のバス停留所に、方言での集落名表記板を設置する取り組みを進めている。同会の緋月真歩副代表は「島ゆみたは島の宝。方言に対する興味関心から、子どもとお年寄りとのコミュニケーションのきっかけが生まれ、若い人たちが方言を親しむきっかけになれば」。6月末ごろまでの全停留所への設置を目指している。

 同会は方言を守り、次世代につなぐための取り組みを行う団体として2017年4月に発足。これまで定期開催の「島ゆみた語ろう会」や、子ども達が方言で演じる狂言「附子=ぶす=」の上演などを企画。昨年は方言の存続意識を高めるために4集落による「危機言語サミット」も開催した。

 バス停への方言表示板の設置は「単発のイベントだけでなく、日頃から島ゆみたに親しめる形に残るものを作りたい」との思いからバス会社や喜界町役場の理解協力を得てスタート。島民への意識づけのほか、観光客と島民の交流のきっかけにつなげることもねらっている。

 昨年12月13日から今月16日までの期間で資金調達のためにクラウドファンディングを実施。目標額60万円に対し、島内外の84人から74万8千円の資金を得た。生島会長は「島出身の人が厚く応援してくれた。島ゆみたが使われなくなっていることに寂しさを感じるのでは」と分析した。

 看板には標準語・方言での集落名のほか、アクセントがわかる表示やバス停名のローマ字読みも併記する予定。すでに3カ所で試験的に設置をしており、今後は看板の字体や字の色などを含めたデザインについて検討を進めるとしている。