夜の自然と観光テーマの公開シンポ

地元関係者などが登壇し、奄美の夜の観光などをテーマに意見を交わした

自然保護し観光利用を
共通ルールの導入や、利用分散などの提言も

 環境省奄美群島国立公園管理事務所は1日、奄美市名瀬の宴集会場で「奄美大島の夜の自然と観光」をテーマとした公開シンポジウムを開いた。専門家の講演や、エコツアーガイドや地元関係者などが参加したパネルディスカッションで意見交換や提言も実施された。パネリストからは「共通ルールの設定」「自然を保護して観光利用する」などの意見があった。

 国立環境研究所生物・生態系環境研究センター久保雄広研究員が講師を務め、「シマの持続可能な観光を考える:野生動物の保全と利用」と題して講演。久保さんは、「シマの持続可能な観光は、環境の保全、経済発展、地域活性化の三つを成り立たせること」と語った。

 久保さんが5年前に住民や観光客に行ったアンケート調査から、「野生動物観察のツアー参加者は10%ほどだが、アマミノクロウサギ観察ツアーへの関心は60%以上が『関心あり』だった」と指摘。奄美大島の観光について「自然環境が観光客を引き付けている。興味ある人が多いが、ツアー参加者は少ない。サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)が言われるが、奄美は可能性が高い」と語った。

 パネルディスカッションでは同事務所の千葉康人国立公園管理官がコーディネーターを務め、講演した久保さん、奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長、自然写真家の常田守さん、同市住用町市の山下茂一区長がパネラーとして登壇した。

 喜島会長は、協会の自主ルールなどを説明。「登録ガイドになるには、協会の自主ルールを守ってもらう。クロウサギの交通事故被害は、ナイトツアーの帰りに起きる。混雑時はクロウサギが見られないという状況も」と話した。

 常田さんは「保護する所と見せる所を分けて、分散化を図るべき。島民の考えは変わって来た。観光の前に自然保護がある。島の宝と再認識して、子どもたちに引き継いでいかなければならない」と強調した。

 山下区長はNPO法人すみようヤムラランドの活動を紹介し、「三太郎峠でキャンペーンして、交通事故防止など呼び掛けている。野生動物などは保護されるべき」とした。

 久保さんは「可能性も課題もあると感じた。管理は集中させた方がいい」と話した。