リュウキュウアユ個体数調査

個体数の報告やカワウ対策など話し合ったリュウキュウアユ数値評価委員会

約4千匹減少 19年は1万6千匹台
高水温悪影響 カワウ対策で一定効果も
保全研評価委

奄美リュウキュウアユ保全研究会(四宮明彦会長)は2日、奄美市住用町の同市役所住用総合支所会議室でリュウキュウアユ数値評価委員会を開いた。個体数の調査結果について、2019年11月の個体数は、前年比4928匹減の1万6034匹。研究者は減少した要因を「冬季の高い海水温や、増加しているカワウの捕食の影響ではないか」と考察している。

リュウキュウアユは奄美大島と沖縄本島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類、鹿児島県は条例で保護種に指定。沖縄では絶滅していることから、奄美大島のリュウキュウアユを放流して研究者などが復元に取り組んでいる。

同研究会は保全のための方策の検討や、普及啓発活動などを実施。個体数の現況評価や、評価に基づき危機警報の発出を行うなどの目的で同委員会を開いている。

個体数調査は、鹿児島大学などと合同で30年近く継続。昨年11月、アユが各河川の1㌔の範囲にどれだけ生息しているかを調査員が潜水して目視で計数した。

19年のアユの生息する主要な4河川(役勝川・住用川・川内川・河内川)の河川別個体数は、▽役勝川=1万4509匹▽住用川591匹▽川内川=386匹▽河内川=315匹。奄美大島全体では1万6034匹で、1990年以降でワースト5だった17年の4430匹からは回復傾向。

同研究会メンバーで12年度から、個体数調査に携わる鹿児島大学水産学部の久米元准教授は、「冬季の高い水温がアユの仔稚魚に悪影響を与え、個体数が減少するのではないか。個体数は予想より多かったが、決して良くはない数値。これからは温暖化とカワウが脅威になる」と警鐘を鳴らした。

また同研究会が昨年11月に役勝川のアユの産卵場付近で、カワウの捕食を防ぐ目的でテグス糸を水面上に張り巡らす対策で一定の効果が得られたとする報告もあった。