大型製糖工場操業

50年ぶりに年内操業した奄美大島の富国製糖。気象条件に恵まれ、製糖作業は順調で、甘しゃ糖度も高い状況にある

製糖順調、糖度上昇
倒伏少なくハーベスター稼働スムーズ

 奄美群島の大型製糖工場は全てが12月中に操業を開始したが、製糖状況は順調なところが多く、搬入量(原料処理量)はすでに生産量見込みの半分に達したところもある。収穫作業でハーベスターの稼働では台風被害がなかったためサトウキビの倒伏が少なく、作業がスムーズに進んでいる。品質は全般的に良く、甘しゃ糖度が上昇している。

 群島内にある大型製糖5工場のうち、最も早い12月3日に操業開始した沖永良部島の南栄糖業は生産量見込み8万369㌧のうち、2月5日現在で4万2228㌧の搬入があり、進捗率53%と半分を超えている。キビの収穫期の冬場は例年雨天が多いが、今年の場合、天候に恵まれ作業が順調という。また、同島はハーベスターによる収穫率が98%とほとんどを占めている中、「倒伏が少なく収穫しやすいのが大きい。倒伏が多いと、ハーベスターは前進・バックの繰り返しを要するが、今期は前進だけで済みスムーズで、非常にハーベスター稼働率が高い」(南栄糖業)。

 糖度の方は、15・1度でスタートしたものの、その後は14~13度台に低下。年明けから14度台中盤まで上昇し、最近1週間は気温の低下で寒があり、15度近くまで上昇しているという。累計14・35度で、基準糖度帯(13・1~14・3度)の状況は以下9・5%、内39・2%、以上51・2%と、半分が基準糖度帯を超えている。

 12月13日に操業開始した与論島製糖は、生産量見込み2万4㌧に対し、1万2626㌧(2月5日現在)の搬入と、こちらも半分を超えており順調。糖度の累計は14・46度。「天候に恵まれ収穫作業は順調だが、暖冬の影響で寒がなかなかこなくブリックスが上がらない。15度近くまで上昇してほしいのだが…」(与論島製糖)。

 12月16日開始と50年ぶりに年内操業した奄美大島の富国製糖。生産量見込み2万5千㌧に対し、搬入量は1万1939㌧(2月5日現在)となり、進捗率47・8%と半分近い。糖度の累計は平均14・86度(最高17・9、最低10・5)と高い。基準糖度帯状況は、以下4・1%、内23・7%、以上72・2%で、基準糖度帯以上が7割を超え品質は良好。前期の基準糖度帯以上は41・5%だった。「夜間は気温が低く、昼間は高い。寒暖差が大きいのが糖度の上昇につながっている」(富国製糖)。

 喜界島の生和糖業は12月18日に操業開始。生産量見込み7万㌧に対し、搬入量は3万2299㌧(2月5日現在)と半分近くまで進んでいる。糖度の累計は14・54度。基準糖度帯状況は、以下5%、内35%、以上60%。登熟が早くから進んだこともあり、糖度の上昇につながっているという。

 大型製糖工場では最後の12月19日に操業開始したのが、徳之島の南西糖業。生産量見込み17万980㌧に対し、1月22日の生産対策本部運営企画委員会で報告された搬入量(同20日集計)は3万8260㌧。糖度の平均は13・57度で、年明け以降好転しているという。