鹿大島嶼研・勉強会

勉強会で野生動物のロードキル問題などが語られた

動物検知システムの報告も
ロードキルや対策紹介「交通量増から増加懸念」

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センター(島嶼研)は6日夜、奄美市名瀬の同センターで第28回勉強会「奄美分室で語りましょう」を開いた。講師からロードキル(野生動物と車両の交通事故)がなぜ起きるのかや、アマミノクロウサギのロードキルを防ぐために行った動物検知システムの実証実験結果などが語られた。参加者は講師に質問をしたり、メモを取ったりしながら熱心に聞き入った。

 勉強会は大学の研究成果や、最新の知見などを地域に還元する目的。気軽に参加できるように軽食や飲み物を自由に持ち込みできるスタイルで実施されている。

 今年度4回目の勉強会の講師を、帯広畜産大学環境農学研究部門特任講師で2019年度同センター客員研究委員である浅利裕伸さんが担当。「交通事故はなぜ起こる?―アマミノクロウサギを守るためには―」と題して、スライド資料を用いて北海道十勝で見られる生きものやロードキル対策を紹介し、奄美大島で取り組んだ動物検知システムによる実験結果などを報告した。

 帯広市は十勝の19市町村の中心市で、面積は618平方㌔と奄美大島(712平方㌔)よりは小さい。十勝ではキタキツネ、ヒグマ、エゾリス、エゾモモンガ、オオワシ、タンチョウヅルなどの野生動物が見られるという。

 浅利さんは「野生動物が移動ルートを変えず道路に出るため北海道でもロードキルが起きていて、エゾシカでは年間約2千件発生している」と説明。「道路の上を通るオーバーパスなどの対策をとっている」と話した。

 アマミノクロウサギについて、「年間10~20個体のロードキルが発生。交通量増からロードキルの増加が懸念される」と指摘。「三太郎峠で赤外線センサーを使い、動物を検知した時にランプが点灯してドライバーに注意を促す装置の実験を行った。装置により車両速度が2、3㌔低下したので、標識に比べこのシステムはロードキル防止に有効だろう。システムで持続的な資源の活用が可能になる」と締め括った。

 参加者からは、「海外でのロードキル対策は?」などの質問があった。