奄美市の海辺に面した道路沿いで開花している「オキナワチドリ」=西康範さん撮影=
自生の環境保たれる
奄美市海岸近く
奄美市の海岸近くの道路沿いで今年も「オキナワチドリ」が咲いている。西康範さんが撮影。草刈りなどにより誤って伐採される自生地もあるが、こちらは開花の広がりが感じられるほど自生の環境が保たれているという。
『奄美の絶滅危惧植物』(山下弘さん著)によると、オキナワチドリは海辺近くの日当たりのよい草地や岩場の割れ目などに生える小型の地生ラン。山下さんは著書で「本種は日本の野生ランの中で最も海辺寄りに生えるが、海岸開発などにより生育域が年々減少」と指摘している。花期は2~4月で、草丈10㌢ほどの茎に長さ8~10㍉の淡紅紫色の花を複数咲かせる。環境省の絶滅危惧Ⅱ類、鹿児島県の準絶滅危惧種に登録されている。
撮影した西さんは「今年は開花が例年より早かったようだ。撮影地は年々花の数が増えており、群生の広がりが確認できた」と話す。車両の通行がある場所だが、良好に保存されている。
一方、奄美大島北部にある他の自生地では昨年2月の開花期、県道の管理委託を受けた業者が伐採作業中に誤ってオキナワチドリを刈り取る事態が表面化。現在、開花期を迎えているが、貴重な自生地で以前のような道路沿いでの群生はみられない。