湯湾岳利用ルール策定へ意見交換

湯湾岳の利用ルールについて関係機関等が集まり、意見交換を行った

山頂付近立ち入り制限へ
今夏の試行目指す

 環境省奄美群島国立公園管理事務所は21日、大和村役場で第1回「湯湾岳の利用ルールに関する意見交換会」を開いた。自然保護と持続可能な利用の促進などを目的に、山頂付近への一般利用者の立ち入りを制限する案を提示。同事務所は、夏ごろまでに利用ルールの試行を図りたいとしている。

 意見交換会は、奄美大島最高峰・湯湾岳の保護と利用のバランスを保つためのルール作りを検討するために開催。今回と3月に開催予定の第2回意見交換会で合意形成を図った後に、自主ルールとして運用。将来的には大和村・宇検村での条例制定を検討する。

 この日は、関係自治体関係者のほか、地元有識者、自然保護・観光関係団体など約30人が出席。同事務所側が提示した利用ルール案では、湯湾岳歩道周辺を、▽自然体験ゾーン(湯湾岳公園(宇検村)、大和村側歩道、祠=ほこら=広場(大和村))▽準保全ゾーン(宇検村側歩道エリア)▽保全ゾーン(山頂エリア)―にゾーニング。このうち保全ゾーンに区分した山頂エリア(延長約250㍍)は立ち入りを制限し、準保全ゾーンの宇検村側歩道エリア(同約1600㍍)ではガイド帯同を推奨している。

 また山頂エリアへの利用者立ち入りを防止する目的で、環境省直轄事業で祠広場の整備を行うことも説明。展望台や、解説標識の設置、山頂エリア入り口にロープ柵を設置する案などが示された。同広場の整備については、21年度に工事着手・完成を予定している。

 ルール案・環境省直轄整備施設案に対し、出席者からは「大和村側歩道入り口付近の林道にも何らかの規制を設けるべき」、「ロープ柵があることで、逆に山頂エリアに誘引する可能性がある」、「より厳しいルール作りを」などの意見が挙がった。

 意見交換会終了後、同事務所の千葉康人国立公園専門官は「自然遺産を目指す上でもオーバーユースへの対策は急務。湯湾岳は核心的なエリアなので、なんらかのルールは必要。山頂付近の保全対策が必要なので、広場整備の計画とセットで考え、関係者と丁寧に話し合い、合意形成を図れれば」とした。