放課後児童クも一時閉所へ

3日から13日間閉所となる龍郷町放課後児童クラブ4カ所(写真は瀬留の専用施設)

新型コロナ対策の波紋 公共施設使用休止を決定
対応に困惑する保護者も
龍郷町の選択

 先月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大防止対策に関するさまざまな対処方針や自治体要請が、関係省庁、政府から次々と示されてきた。これを受けて奄美群島内でも各種の感染防止対策の動きが顕在化しており、波紋を広げている。短期間の急な動きに各自治体はとまどいを隠せないのが現状のようだ。小中学校、高校などの一斉休校の政府方針への対応もその一つで、放課後児童クラブ(学童保育)運用にも影響を与えている。龍郷町の対応事例を追った。

 龍郷町によると、先月28日午後、町役場で臨時幹部会を開き、新型コロナウイルス感染防止対策について協議した。協議の結果、公共施設では▽町保健センター「どぅくさぁや館」の入浴施設及びサウナ利用は、2月29日から当分の間、営業休止する▽体育・文化センターりゅうゆう館、生涯学習センターりゅうがく館及び関係施設を全て、3月2日から当分の間、使用中止とする―ことを決めた。

 2月28日以降、その内容を防災行政無線で町民に知らせ、「ご利用の皆さまには、大変ご迷惑をおかけ致しますが、ご理解とご協力をお願い致します」と呼び掛けた。また、対象施設に「お知らせ」の貼り紙をした。

 一方、町内4カ所で運用している町放課後児童クラブは、3月3~15日の間、閉所することを決めた。「保護者宛のお知らせ文書」は、2月29日に学童の保護者には手渡し、それ以外の保護者にはショートメールで内容を送付した。文書内容は「新型コロナウイルス感染防止のため、閉所となる。理由は『龍郷町の放課後児童クラブは、小学校のクラス人数よりも多くの児童が集まるため、学校生活よりも感染リスクが高いため』」と説明。問い合わせ先として、保健福祉課の直通電話番号を掲載した。

 4放課後児童クラブの登録人員(3月1日現在)は、大勝32人(大勝小、戸口小の児童が利用)、瀬留35人(龍瀬小、龍郷小児童が利用)、赤徳30人、秋名4人。大勝、瀬留の2クラブは専用施設で運用。支援員は2~4人で児童を見守っている。

 閉所期間は、13日間。2月29日に瀬留、大勝のクラブを利用している学童の保護者数人に話を聞いた。共働きの40歳代男性は「まだ対応は明確になっていない。(同クラブ利用の保護者)4世帯のどこかで預かりが可能か、可能な時間帯があるかと考えている。また、笠利と名瀬の実家の親への預けも考えているが未定。嫁が週4日午前中だけのパートなので、(いろんな対応で)何とか閉所期間中を乗り切りたい」と話した。

 共働きの30歳代女性は「保育園児1人、小学生2人。小学生2人には昼間自宅に居てもらい、夫婦で昼休みに様子を見に行ったりして対応したい。閉所はしかたないと考えている。(状況の変化で)今後、閉所が長期化しないか心配している」と話し、30歳代の男性は「4歳児は保育園に預け、小学生は自宅で嫁さんが見ることになると思う」と話した。

 共働きの30歳代のパート女性は「保育園児、小学生の子ども2人。私が仕事を休み対応予定。こういう状況は仕方ないと思う」と話した。

 30歳代のパート女性は「共働きで、2人とも休めない。私の企業は人手不足で休めず困っている。親に預けられるか分かっていない。テレビニュースで放課後児童クラブは休まないと聞いていたのに…」と困惑した様子だった。

 児童の「精神面の不安」を心配する保護者もいた。

 2月29日の取材によると、大勝、瀬留、赤徳の3クラブ施設側に保護者からさまざまな意見や問い合わせが寄せられたという。

 町側は、問い合わせ対応のため、2月29日から2日間、総務課と保健福祉課の職員を2人ずつ出勤させた。

 政府の対処方針が日々変化している状況が続く。奄美でも各自治体では、どんな対応を選択するのか力量が問われている。
    (東江輝文)