3月定例県議会は3日、引き続き一般質問があり、向井俊夫議員=自民党、奄美市区=、柳誠子議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、宝来良治議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、田中良二議員=自民党、薩摩川内市=が登壇。奄美・沖縄の世界自然遺産登録は5月のIUCN(国際自然保護連合)勧告を踏まえ、中国福建省福州市で開催される世界遺産委員会で登録の可否が決定される予定だが、現在のところ場所、日程変更の連絡はないとの答弁があった。
国内外で感染が拡大している新型コロナウイルスの発生源は中国(湖北省武漢市)だが、向井議員は6月29日~7月9日にかけて開催される世界遺産委員会への影響がないか質問。藤本徳昭環境林務部長は「(世界遺産委員会の)開催は中国と予定されている。環境省に確認しているが、現在のところユネスコの方から場所、日程の変更との連絡はない」と述べた。
世界自然遺産奄美トレイルのルートは、群島内の全市町村をつなぎ奄美の自然や文化に歩いて触れ合えるよう地元市町村や住民と連携して設定。その後はエリアごとに開通イベントの開催、マップ作成、総合案内板の設置を進めるとともに、モニターツアーの実施、スタンプラリーの開催、フェイスブックを活用したPRなど情報発信している。藤本部長は「来年度(2020年度)は奄美市笠利町、龍郷町、加計呂麻・請・与路島(瀬戸内町)のエリアでルート選定を完了し、当初計画より1年前倒しで全線開通する見込み」と報告。21年度予定だったのが、1年早く20年度になる見通しだ。
登録後のオーバーツーリズムを防ぎ保全と利用の両立に向けて県は、奄美群島持続的観光マスタープランを策定(16年度)している。地域を少人数対象としたエリアと多人数が可能なエリアに区分し適切に利用するもので、藤本部長は「保護上重要な地域である金作原(奄美大島)や山クビリ線(徳之島)において認定ガイドの同行、ガイド車両の台数制限など利用ルールを運用している。多人数利用が可能で、奄美の固有種が生息する龍郷町の奄美自然観察の森はリニューアルを進めている」と説明した。
日韓関係悪化による韓国人観光客の大幅減だけでなく、今回の新型コロナウイルスの感染拡大で中国をはじめ国内外の宿泊キャンセル発生、インバウンドの売上減少が出ている。五田嘉博商工労働水産部長は「県の要請を受け国が発動を決定した借上債務の100%保証するセーフティネット保証に加え、旅館業などを対象とした国の特別貸付制度について周知を図っている」と述べた。
新型コロナ関係では10月に開催される鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会への影響も取り上げられた。国体・全国障害者スポーツ大会局の中堂薗哲郎局長は「開催の可否は日本スポーツ協会および日本障害者スポーツ協会が定める『各々の開催基準要綱において国や日本スポーツ協会等と協議のうえ決定すること』とされている」と説明。新型コロナの影響は「今後の国の動きや東京2020オリンピック・パラリンピックにおける対応、その他国内で開催される大規模イベント等の状況を注視していく」との答弁があった。