「排水ポンプ」で特許を取得した(右から)平部長、瀧田さん(手に作品)、中村さんの奄美高校工業技術研究部3人と顧問の小薗教諭
雨上がりのグラウンド整備にひらめき
奄高工業技術研究部3人が発明
県立奄美高校の工業技術研究部の部員・平智希部長、瀧田健斗さん、中村翔さんの3人が開発し、文部科学省や特許庁など主催の「パテント(特許)コンテスト」で優秀賞を受賞した作品がこのほど、特許権を取得した。雨上がりの後のグラウンド整備を見てひらめいたという発明品は「水たまり排水用ポンプ」。平部長は驚きの快挙に「うれしい。世の中で生かしたい」と弾ける笑顔で喜んだ。
「排水ポンプ」は、すり鉢状の弾性シートに、給油ポンプを取り付けたシンプルな構造で、全て身近なもので賄った。給水口を横向きにすることで目詰まりとなる泥や砂利などの流入を防ぎ、落とし蓋=ふた=役のシートが流入する空気を遮断することで、スムーズな排水を実現した。
作品は、2018年度の同コンテストに応募し、全538件の中から優秀賞30件の一つに選出。特典の特許出願支援で弁理士の指導を仰いで、特許出願を目指した。
出願書類は、技術と法律の専門用語がびっしりで、部員たちは装置の各部を解説したり、類似の特許がないか調べながら、何とか同年度の出願に間に合わせた。出願後も拒絶審査が届き、製品改良を重ねたり意見書を補正したりと悪戦苦闘。昨年11月に特許取得を知らせる査定を受け、2月7日に念願の特許証が交付された。
試作を手掛けた瀧田さんは「弾性のシートをかぶせたところが大きなポイントになった」と振り返り、中村さんは「書類の作成に時間は掛かったが、これからもずっと残るもの。達成感はある」と笑顔。同部顧問の小薗真介教諭は「年間を通してまじめに取り組んだ成果」と3人を労いつつ、「若者のアイデアは無限の資源。今後も実りある指導を心掛けたい」と話した。
3人は機械電気科3年生で、4月からは進学や就業などそれぞれの道を歩む。3人は「この特許を生かして、みんなのために役立ててほしい」と口をそろえた。