県議会一般質問

喜界町が全国初取り組み
新制度での所有者不明農地流動化
港湾事業2社JV 「地元業者の受注確保」

 3月定例県議会は4日、引き続き一般質問があり、米丸麻希子議員=自民党、姶良市区=、前野義春議員=県民連合、鹿屋市・垂水市区=、寿肇議員=自民党、大島郡区=、中村正人議員=自民党、霧島市・姶良郡区=が登壇。所有者不明土地で農地利用を促進するため新たな制度(改正基盤強化促進法)が施行したが、所有者不明農地の流動化が全国で初めて喜界町で進められていることが報告された。

 寿議員が取り上げ、満薗秀彦農政部長が答弁。相続未登記状態にある農地の貸付では、これまで相続人の過半の同意を得なければならず、同作業に多大な時間と労力を要してきた。こうした課題を解決するため、新制度では農業委員会が相続人を農地登記名義人の配偶者や子までの範囲で探索したうえで、農地中間管理機構へ貸し出すことについて半年間工事を行えば最長20年間、担い手等への集積が可能となった。

 満薗部長は「本県において喜界町が所有者不明農地の流動化を進めるため全国で初めて取り組んでいる」と説明。2019年11月には初めて担い手等へ貸付が行われ、今後順次貸付がなされるとした。

 研究開発に取り組むなど推進しているスマート農業で高齢者への普及を求める質問があった。満薗部長はスマート農業機器のうち、高齢者でも取り組めるものについて▽GPSを活用して簡単な操作で耕うん畝=うね=立て作業が行える直進アシスト機能付きトラクター▽傾斜地など危険な場所でも安全に草刈りができるリモコン草刈り機▽重量物の持ち上げ作業等の負担が軽減できるアシストスーツ―などが考えられるとし、「高齢者でも活用できるスマート農業の研究開発に取り組む」と述べた。

 特に人手不足が深刻な建設業における担い手育成に関する取り組みが取り上げられた。兒島優一土木部長は20年度から新たに、建設産業担い手確保育成定着事業に取り組むと説明。担い手確保のための人件費の助成や建設業の仕事にやりがいをより感じられるよう若手、中堅などキャリアに応じた現場知識の習得や資格取得のための研修などを実施していく。

 奄美群島の港湾事業における県の発注2社JV型(共同企業体)の入札制度の在り方に関する質問があった。港湾工事におけるJV工事はケーソン製作や据え付けが主で、大規模で技術的難易度が高い。兒島部長は「現行の2社JVの入札においては、島内の地元建設業者の参加が可能となっている」とし、現行の入札制度の運用を図りながら「今後とも地元業者の優先指名や可能な限りの分離分割発注、下請け工事において地元業者の優先活用など地元業者の受注確保に努めたい」と述べた。