在宅勤務を導入

在宅勤務中の社員とパソコンで打ち合わせている(4日午後、しーま社内で)

しーま、コロナ一斉休校受け
「配慮と理解に感謝」 ネットでやり取り

 新型コロナウイルスの感染症対策として全国の小中高校が一斉休校している中、奄美で在宅勤務を試験的に導入した企業が出てきた。子育て中の社員の負担軽減が目的。国はインターネットを活用した社外勤務を推奨しており、働き方改革の一環として注目されそうだ。

 奄美市名瀬の㈱しーま(深田小次郎代表、社員13人在籍)はインターネットサイトによる奄美の情報発信やフリーペーパーの制作、発行を行っている。県内の公立校は15日まで休校という事情を踏まえ、同社は社員2人の在宅勤務をスタートさせた。

 在宅中はリアルタイムで互いのパソコン上で顔が視認できるツール「ウェブミーティング」を活用。原稿やデータのチェックを本社とやり取りしている。

 龍郷町内に住む正社員のロレンス奈苗さん(44)は小学2年生の子どもを持つ。在宅シフトは今月3日から。これまで通り午前8時半から本社で勤務し、帰宅後は午後2時から自宅業務を行っている。

 ロレンスさんの仕事はライター業務や記事の校正など編集が中心。在宅でも可能な業務に配慮した会社に対し、「子ども一人だけでは不安だったので、会社からの配慮と理解を得られ感謝したい。結果的に子どもとの時間を持てることになってうれしい」と話した。

 また市内在住のパート社員は冊子編集業務を担当。小学生児童を抱え、やはり「朝から夕方まで子どもだけ」という状況を懸念して在宅勤務を望んだ。

 Iターンや転勤族の社員の場合、近くに子どもを預けられる身寄りがない。今回の救済措置について、同社は福利厚生としてだけでなく台風など出勤出来ない場合の対応策として「モデルケースとなり得る」と試験的に導入した経緯を明かす。

 だが課題もある。通常の打ち合わせが、画面を通じてとなるため業務効率が不透明に。さらに、▽在宅でも可能な仕事の有無▽勤務管理▽子どもの面倒を見ながらできる仕事の割り振り―など長期化した場合の懸念材料を挙げている。

 同社の麓卑弥呼編集長は今後、本格的な在宅勤務に移行できるかは未知数とした上で「今回のケースを生かし、社員の働き方改革につながれば」と前向きに語った。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国は共働き世帯の支援策として自宅や外出先で働く「テレワーク」の導入を促している。工場や小売業など在宅勤務の導入が難しい業種もあり、普及には課題が多いとされる。