動物園へ移送し飼育へ

平川動物公園に移送されたミゾゴイ(提供写真)

奄美市で保護されたミゾゴイ

 奄美いんまや動物病院の伊藤圭子獣医師はこのほど、負傷して保護されていた絶滅危惧種ミゾゴイを鹿児島市の平川動物公園に移送した。伊藤さんが同鳥を動物園に移管するのは初めて。受け入れた同園は治療を続け、広い施設で飼育し一般公開する方針。

 『奄美の野鳥図鑑』(NPO法人奄美野鳥の会=編)によると、ミゾゴイはサギ科に属し繁殖地が日本しか知られていない世界的な希少種。環境省の2019年レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。

 春と秋の渡りの途中に日本に立ち寄る旅鳥で、奄美では真冬の観察例も。冬は主に台湾やフィリピンで越冬し、夏に九州から本州の低山の林に渡って来る。

 奄美市名瀬で昨年12月にけがして衰弱して痩せていたミゾゴイを保護し、伊藤さんの病院で治療を開始。伊藤さんによると、交通事故か何かで羽を骨折していて、折れたまま骨がくっついて飛べなくなっていたという。

 ミゾゴイが、全国の動物園が飼育下繁殖に力を入れている種にリストされている点や、また長期的ケアが必要な点から治療態勢がより整っている平川動物公園(鹿児島市)に送ることに。

 伊藤さんの治療の結果、健康を回復し航空機での移動に耐えられる状態になり、11日に奄美空港から鹿児島空港に移送。同日中に同園に運び込まれ、健康状態などの検査を受け無事に収容されたという。

 同園飼育展示課の落合晋作さんによると、奄美大島から同種を受け入れるのは1991年以来で2例目という。落合さんは「伊藤さんの治療で、体重628㌘まで回復し健康を維持している。今後も様子を見ながら展示に持っていけるまでケアしたい」と話した。