生徒の自殺再発防止策などについて意見交換した再発防止対策検討委員会
奄美市の中学1年男子生徒=当時(13)=が2015年に自殺した問題で、市教委が設置した「再発防止対策検討委員会」(委員長=假屋園昭彦鹿児島大教授)は17日、同市役所で第6回会合を開いた。生徒指導態勢やいじめ防止に向けた対応など6項目について、市教委が提示した再発防止の提言に対する中間報告に対し、各委員の意見集約を行った。
会合は非公開で行われ、終了後に假屋園委員長が協議内容などについて説明した。假屋園委員長によると、「再発防止の提言に対し、活用方法と内容について協議。活用について委員からは、作りっぱなしにならないことを求められた。内容については、具体的な対策内容の記述を求める意見などがあった」という。
同検討委員で第三者調査委員会副委員長を務めた栁優香弁護士(41)は、「再発防止に一番欠かせない、自殺した生徒に対する検証が不十分。事前に、市教委には意見書などで、亡くなった生徒固有の事実について振り返るよう求めていたが、その点に対する回答は全くなく残念」などと話した。
栁弁護士は意見書の中で、「男子生徒がなくなったことと直接的な関係ではない、いじめ防止の対応や教育相談態勢、不登校児童生徒への対応等を中心課題ととらえて、一般的、抽象的に検討しても、再発防止にはならない」などと指摘、「どうすれば、第二の男子生徒を出さない再発防止策となるか、検討下さい」などと市教委に要望している。
同検討委員で、男子生徒の父親は「リーフレットの策定ありきで、名ばかりの再発防止策にならないことが重要。各学校には対策マニュアルなどはあるが、それが機能していなかった。なぜ機能しなかったのか市教委の検証が足りない」などと指摘。再発防止策が学校や市教委の現場で実践されているか、定期的に評価する第三者機関の必要性を指摘した。
こうした委員の指摘について假屋園委員長は「今後、市教委と一緒に協議していく。委員みんなが納得できるまで議論を尽くしたい」とし、7月をめどにまとめる予定となっている再発防止策の提言について「もう少し先になる可能性もある」とした。