雨天の「清明」、気温も低く

見頃を迎える「オオシマウツギ」(4日午後、龍郷町・奄美自然観察の森)

野山の花々ひそやかに

 〇…4日は二十四節気の一つで、清く明るい空気が満ちるとされる「清明(せいめい)」だった。奄美地方は厚い雲に覆われ、雨の降る時間帯も。あいにくの天気となったが、野山では花々が静かに見頃を迎えていた。

 〇…この日の奄美地方は気圧の谷に覆われ、群島内8カ所の観測地点でいずれも降雨を記録。気温も上がらず、ほとんどの地点で最高気温は2月上旬~中旬並みに。伊仙町では最も寒い時期を下回る16・5度だった。

 〇…龍郷町の奄美自然観察の森も悪天候に加え、新型コロナウイルスの影響もあってか、週末なのに人出はほとんどなく、アカヒゲやヒヨドリなどのさえずりが響くばかり。散策すると、希少種も含めた春の花がひそやかに木々を彩った。

 〇…中でも存在感をアピールしていたのが、「オオシマウツギ」。アジサイ科の落葉低木で、奄美大島・喜界島・徳之島の固有種。白い小花を多くつける姿も美しいが、雨に落とされた花弁が路面を染めるのも趣深い。

 〇…新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるい、全国的な「自粛」の嵐で息苦しい雰囲気が漂うこの頃。気をもまずに花を愛=め=でることのできる、“清く明るい”日々が早々に戻ってくることを願いたい。