再発防止対策検討委の議論などについて、自殺生徒の父親が市教委に提出した意見書
奄美市の中学1年男子生徒=当時(13)=が2015年に自殺した問題で、市教委が設置した「再発防止対策検討委員会」(委員長=假屋園昭彦鹿児島大教授)の遺族委員でもある生徒の父親が15日、「再発防止策が名ばかりとならないためにも、防止策が実践されているか検証する第三者機関の設置が必要」などとする意見書を市教委に提出したことが分かった。
これまでも検討委の中で同様の意見を述べてきたという父親は「市教委が提示した検討委資料には、息子の自殺に対する市教委独自の検証がなく、第三者機関に関する提案も盛り込まれていない。このままでは名ばかりの再発防止策となってしまう」と危惧、「次回(6月2日)委員会の議論をより充実したものとするため」意見書の提出を決断した。5月15日までに書面での回答を求めている。
意見書では、検討委の目的が「再発防止のためのリーフレット策定」になっているなどとし、父親は「息子が自殺した当時も学校には教育マニュアルが存在、それが実践できていれば、息子が死ぬことはなかった。マニュアルが機能していなかったことが問題」などと指摘。「リーフレットの内容を実行するための具体的な年次計画や進捗状況を定期的に確認、公表、改善するシステムの構築が必要」として、第三者機関の設置などを求めている。
このほか、▽検討委の議論についてパブリックコメント(意見公募)などで市民の声を反映させる▽アンケート内容の見直し▽(自殺に関する調査報告書をまとめた)第三者調査委員会との協議の実施―などを求めている。
父親は、市教委が第6回会合(3月17日開催)で示した再発防止対策検討委資料に、自殺生徒の事案に関する市教委独自の検証内容などが示されていないことなどにも触れ、「過去の教訓を明示せず、どうして再発防止が実行できると考えているのか。市教委は息子の事案の風化を望んでいるのだろうか」と憤る。
意見書を受け取った市教委学校教育課は「受け取ったばかりで、意見書の内容についてしっかりと把握する必要がある。検討委員会などと協議しながら今後の対応を検討したい」としている。